鑑賞眼

新国立劇場「エドワード二世」 森の演出力に眠気も吹っ飛んだ

「こう来るか!」と森新太郎の仕掛ける演出に、いちいちうれしくなった。30代の演出家3人の演出力を見せる新国立劇場の「トライ・アングル」企画の第2弾。河合祥一郎の新訳。

何しろ英エリザベス朝演劇である。シェークスピアと同時代の英作家クリストファー・マーロウの史劇である。眠るまい…と心して客席に座ったのである。

恐らく森も、この戯曲を真っ正面から「古典劇」にしたら、面白くないと判断したのだろう。14世紀初頭、イングランドに実在して失政を重ねたバカ殿エドワード二世を、徹底的に戯画化。その象徴的な仕掛けが、エドワード二世(柄本佑(たすく))の巨大なヒゲだ。細身スーツに、全くそぐわないヒゲと王冠を身につけた柄本が、王の器でない男が権力を手にするちぐはぐな感じを、等身大の演技で体現してみせた。

そして舞台全体を箱に見立てた美術(堀尾幸男)が、コップならぬ箱の中の争いを印象づける。王の寵臣ギャヴィストン(下総(しもふさ)源太朗)への偏愛、王妃(中村中(あたる))への冷淡、貴族らの敵意。嫉妬や羨望、憎悪や野心など、人間のさまざまな感情が小箱の中でうごめく。ばかばかしい権力闘争と失脚劇は、現代のどの組織にも大なり小なり存在する人間の営みに重なり、実にスリリングだ。森の演出力に覚醒しっぱなし。

下総、大谷亮介ら脇も充実。複雑な人間関係と敵味方を一瞬で色分けする照明(中川隆一)も秀逸だった。27日まで、東京・渋谷の新国立劇場。(飯塚友子)

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