■主たる原因は「日本の乱獲」
消費者の魚離れ。地球温暖化による環境変化。中国や韓国など近隣諸国の乱獲。燃料費の高騰。巷でよく耳にするこれらの言説だが、この中に日本の漁業衰退の「主因」はない。大手水産会社で水産物の買い付け業務に携わり世界の漁業・水産加工業の最前線を知る著者が、その「主因」を喝破する。
日本の漁業衰退の主たる原因。それは「日本の乱獲」なのである。そんなばかな。日本はちゃんと資源管理をしているはずだと? だが実は、漁獲枠の設定があるのは、約350種の漁業対象魚種のうち、たったの7種だけである。しかもヨーイドンで一斉に漁をして、規定量に達したらやめるという早い者勝ち方式なので、小さい魚でも我先にとるしかない。小さい魚を採ってしまえば高値がつかないだけでなく、産卵の機会を奪うことにもなる。これでは水産資源量は持続的に維持されない。