◆進学・就職の受診で
同会は22~23年度、全国の眼科診療所の協力を得て、色覚異常のある941人を対象に聞き取り調査を実施。学校での色覚検査が中止された以降に小学4年生になった中高生の45%が眼科受診時まで自身の異常に気づいていなかった。
高校生では約7割が進学・就職のための受診だった。「異常を感じたことがなく、高校入学後に検査で異常が分かった。もっと早く分かっていたら進路を決めるときに違っていただろう」(工業高・電子機械科の17歳男性)、「海上の仕事に就きたいが、受験資格に色覚があった。人と見え方が違うことはうすうす気づいてはいた。就職・進学に支障があるとしたらショック」(17歳男性)など、進路がほぼ固まった後に異常を指摘され、とまどうケースも報告されている。
また、「色の間違いをして先生に『ふざけてはだめ』と注意された」「地図の色で判断する問題が誤答だった」「黒板の赤のチョークが見にくい」など、学校現場で色覚異常の子供への対応が十分なされていない様子もうかがえた。
同会は、学校での色覚に関するトラブルを避け、進路に対応するためにも希望者には小学校低学年と中学1、2年で検査を実施するのが望ましい、との見解をまとめた。10月にも文部科学省に申し入れる。
宮浦理事は「自らの異常に気づかないまま、現在、大学生になっている人も少なくない。就職や実際の就業の現場でトラブルとなることも予想されるだけに、検査を受けることを勧めたい」と話している。