ロケ地巡りの旅

映画「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」 寅さんの思い伝えるバス停 群馬・中之条町

 「寅さんシリーズ」屈指の傑作とされる第25作「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」は、数少ないハッピーエンドだ。

 暑さに耐え、一日数本のバスを待ちながらベンチでまどろむ寅さん(渥美清)の前に、先だって別れたはずのリリー(浅丘ルリ子)が立っている。

 ヒマワリのような鮮やかな黄色いワンピース。夢のようだが現実だ。見つめる寅さんのさわやかな表情がいい。リリーは巡業先の草津に向かうマイクロバスから、寅さんを見つけて降りてきたのだった。

 出会いがあるから別れがある。だったら一度くらい「運命の再会」があったっていいじゃないか。本作の人気が高いのは、優しすぎて踏み込めない不器用な2人への、山田洋次監督の思いが満ちているからではないだろうか。

 ラストシーンのバス停跡を訪ねた。中之条町六合(ろくごう)地区から草津に向かう山道を少し入ると、茶色い小屋が見えてくる。

 撮影後に路線バスは廃止され、待合所の小屋も台風で飛ばされたが、旧六合村が平成22年、中之条町との合併を前に復元した。同町の六合支所には地元の人が写した渥美さん、浅丘さんのパネルもあった。

 「上荷付場」と書かれたバス停のポールも寅さんが座ったベンチもないが、集落の様子は映画のままだ。

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