中高生のための国民の憲法講座

第4講 国民は憲法守らなくても良い? 百地章先生

 《天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ》

 これを根拠に「ほら。国民には憲法を尊重し擁護しなさいなどと一言も言っていない」というわけです。法律のプロである弁護士にこのようにいわれると、信じてしまう人もいるかもしれません。でもこれは誤りです。なぜでしょう。

当然のことは書かない

 答えは意外に簡単です。憲法を国民が順守するのは当たり前だから書いていないだけです。護憲派のバイブルとされている「宮沢憲法学」の教科書にもちゃんとこう書いてあります。

 「本条(99条)は、国民は憲法を尊重し、擁護する義務を負わないという趣旨を含むものではなく、国民のそうした義務は、当然のこととして前提されていると見るべきである」

 憲法は国民が制定したものです(前文)。だから自ら制定した憲法を国民自身が守るのは当然です。

 確かに、憲法には「権力を縛るもの」という側面があります。その意味では、憲法は主権者国民が政治家や官僚に対して守らせることを書いた文書といえます。しかし憲法は国民も縛りますから、国民にも憲法を守る義務があるわけです。

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