「ツングースカ大爆発」の原因、解明される

 確認された六方晶ダイヤモンドの断片には、鉄の硫化鉱物であるトロイリ鉱(トロイライト)や、鉄ニッケル合金のテーナイトといった、もっと小さな含有物が含まれている。トロイリ鉱とテーナイトはいずれも隕石などの宇宙物質に含まれる典型的な鉱物で、断片にこれらの鉱物が組み合わさって含まれていれば、元は隕石だったことを示している。これとほぼ同じ鉱物がアリゾナ州に存在する衝突クレーター、バリンジャー・クレーターでも発見されている。

 ツングースカ大爆発は、人間が記録しているなかで最大の隕石衝突だ。米国の研究者たちはツングースカ大爆発の破壊力がTNT火薬にして5メガトン相当だと推定している(広島に投下された原爆の数百倍にあたる)。ツングースカ大爆発をもたらした隕石は、ある角度で大気圏に突入した時に分裂したため、完全な状態で地表に到達した破片はほとんどなかった。シベリアの泥炭中で化石化していた残片がいずれも微小なのは、そのためだ。

 ※米サンディア国立研究所の研究チームは2007年、スーパーコンピューターを使った分析により、ツングースカ大爆発では隕石自体は小型だったが、衝突前のエアバーストの威力が大きかったことを明らかにした(日本語版記事)。音速よりも速い高温ガスの強力な下降気流が生じたとし、比較的小さな小惑星などでも、地球に衝突した場合に予想される被害規模は大きいと警告した。

「ツングースカ大爆発」で発生した火球を描いたイラストの前に立つ研究者のマーク・ボスロウ。画像は別の日本語版記事より

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