これまで原因が不明とされてきた、105年前の「ツングースカ大爆発」。このほどウクライナ、ドイツ、米国の科学者のグループが、隕石の微小な残片を確認した。
クーリック探検隊による写真(1927年)。一方向に樹木がなぎ倒されている。画像はWikimedia Commons
1908年6月30日朝7時、シベリアのツングースカ川上空で巨大な火の玉が爆発し、周辺に広がる無人の森を約2%2C150平方キロメートルにわたって破壊した。
このツングースカ大爆発では、火の玉が空を横切った際に生じた熱風がすべての物を焼き払い、続いて衝撃波が発生した。この衝撃波によって木々からは葉や枝がもぎ取られ、大きな森が平らになった。葉や枝をもぎ取られて電柱のような姿になった木々が、どれも衝突場所とは反対の方向を向いて立っている写真から、衝撃の強さと影響範囲がわかる。
現場からは隕石の痕跡が見つからなかったため、多くの科学者は彗星の落下が原因と結論づけた。彗星は主に氷でできており、爆発すると蒸発するからだ。だが105年経ったいま、科学者たちが大爆発の原因が隕石であることを明らかにした。ウクライナ、ドイツ、米国の科学者のグループが、隕石の微小な残片を確認したのだ。
研究者たちは、ツングースカ大爆発が起きた年の夏のものである泥炭(植物が部分的に腐敗したもの)の層から、微小な断片を取り出して収集した。
ウクライナ国立学士院のヴィクトル・クヴァスニツィヤらは、最新の画像分光法によって炭素鉱物(ダイヤモンド、六方晶ダイヤモンド、グラファイト)の集合体を確認した。
特に六方晶ダイヤモンド(ロンズデーライト)は、炭素を多く含む物質が爆発によって発生した衝撃波に突然曝された場合に形成されることが知られている。自然界では隕石が地球に衝突したときに起きる。