湯浅博の世界読解

「血の友誼」に迷う中国

中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)という外相は、こわばった顔でよく強気な発言をする。だが、9日の記者会見は、国連安全保障理事会で北朝鮮に対する制裁決議に賛成はしても、「中国が北に対する基本的な立場を変えると解釈すべきではない」などと、中途半端なものであった。

おそらく、北朝鮮の核実験を受けて、「中国も朝鮮戦争以来の中朝同盟を見直すかもしれない」との観測が流れ、打ち消す必要があったのだろう。実現したためしがないのに、北の核放棄は「制裁でなく対話で」などと言っていた。

中国がなおも「血の友誼(ゆうぎ)」を名目に、北を緩衝国として生かさず殺さずに使うということである。中朝国境の食糧やエネルギーの対北輸送ルートは、心もち規制はしても、完全にはパイプを遮断しない。

中国が北との契りを望んでいる限り、金王朝の3代目政権は核を抱えながらまだ続く。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の跳ね返りがあっても、まだ我慢をするらしい。

ただ、そこにはこれまでにない中国指導部の躊躇や迷いが見える。指導部内に、緩衝国としての役割に疑問が出はじめ、北への寛容性が限界にきたと論じていた気配がある。

米国のカート・キャンベル前国務次官補は2月20日付英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に寄稿し、中国がこれまでになく深刻に受け止め、「指導部周辺の有力インサイダーの間で、この緩衝国が何かの役に立つのかとの問いが湧き出している」と書いた。

前次官補は今回の核実験により、中国の対北政策の欠陥が明らかになってきたと指摘した。中国は北を米軍と切り離す緩衝国と考えてきたが、北は中国に恥をかかせても「現状維持を優先する」と読み切っていたという。