日本のこころつたえ 遷宮と私

(2)ミュージシャン・藤井フミヤさん

 ■日本らしさを曲に

 突然の依頼だった。「伊勢神宮のイメージソングをつくってほしい」。平成18年夏、京都・平安神宮で行われたコンサートの楽屋を訪れた、石清水八幡宮宮司で式年遷宮広報本部長の田中恆清(つねきよ)さんの言葉に驚いたという。

 「えっ、て感じでしたね。それまでお伊勢さんを参拝したこともありませんし、式年遷宮も知りませんでしたから」。だが、1300年以上も続く遷宮のことを調べ、文化的な背景を知るにつれ、光栄なことだと思い直して快諾した。

 その年の秋、伊勢神宮を訪れ、3日間滞在した。神宮近くの五十鈴川の岸にギターを持って座り、構想を練った。「日本らしい音階、やはり雅楽を入れたい」「日本の自然と四季の良さをふんだんに取り入れよう」。そう思いながら、ギターを奏でた。詞も、日本的な言葉を大切にした。

 完成した式年遷宮奉賛曲「鎮守の里」は、冒頭から和太鼓が勇壮に誘う。基調にあるのは雅楽。そこに日本の原風景である田園や里山の四季折々の情景を織り込んだ。

 明治神宮、橿原神宮などで奉納コンサートを続けている。公演前にはスタッフをはじめ、観客全員が本殿に向かって二拝二拍手一拝を行う。全国ツアーの合間にも、各地の神社を訪ねる機会が多くなったという。

 「農耕民族の日本人は、太古から自然の恵みに感謝し、お祭りをやって神社に手を合わせてきたでしょう。今でも当たり前のように、お正月に初詣に行きますよね。神道って、ごくごく自然なものなんです」

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