湯浅博の世界読解

卑劣な異形の大国を知る

この数年、欧米紙が昇り龍の中国を伝えることがあっても、日本を報じることはめっきり少なくなっていた。ところが、安倍晋三首相が登場して以来、連日、アベノミクスや尖閣情勢を取り上げない日がないくらいだ。もっとも安倍政権が誕生したさいには、首相が「タカ派」で「軍国主義」だから、彼を選んだ日本という国は「右傾化」の鬼が住んでいるようなイメージで書いた。

米紙ワシントン・ポストは早くも昨年9月に、日本が右傾化して「第二次大戦後、最も対決的になっている」と報じた。ニューヨーク・タイムズの1月3日付社説では、安倍首相を「右翼の民族主義者」にしてしまった。

ところが安倍首相の訪米では、WP紙の社説などが一転して中国に厳しく、日本に好意的な論評が目立ち始めた。英紙フィナンシャル・タイムズは、安倍政権のデフレ対策は成果を上げつつあり、中国とのいさかいも民族感情に訴えることなく、かつ毅然(きぜん)と対処した。農業ロビーを敵に回さずに、TPP交渉に参加する道を開いたと明快だ。

確かに安倍首相訪米は、周到な準備と決断が功を奏したものと思う。だが、1月末から訪米までの間に、日米中の間に何があったかを考えると、日本が対峙(たいじ)する中国こそ卑劣な異形の大国である事実が分かってきたのだ。