ロシア・チェリャビンスク州に15日、隕石(いんせき)が落下したことを受け、国内でも天体衝突への関心が高まっている。衝撃波によってけが人が出るほどの大きな隕石の落下は珍しいが、国内でも過去に何度も隕石が落ちている。隕石の落下は予測できないのだろうか。(村島有紀)
直径10メートル以下も
米航空宇宙局(NASA)によると、15日に落ちた隕石は直径17メートルもの大きな天体で、秒速18キロで大気圏に突入し、ロシア上空で爆発、落下した。
地球に接近しそうな天体の発見と監視を行う「日本スペースガード協会」(東京都渋谷区)。同協会が運営する岡山県井原市美星町の観測所など世界約10カ所で、組織的に毎夜、観測が行われている。今回のロシアの隕石は太陽方向から近づいたため、太陽の光に隠れ、事前に発見できなかったという。
しかし、2008年には、直径約5メートルの天体を米国の観測所が大気圏突入の約20時間前に発見。各国の観測所と協力し、スーダン上空に落ちると予測した。このときには、実際に隕石を採取でき、「条件次第で、直径10メートル以下の天体の軌道予測も可能」と浅見敦夫事務局長は話す。
平均年間4000個
南極での隕石採集と研究で知られる「国立極地研究所」(立川市)の小島秀康教授(隕石学)によると、世界では年間約4千個、日本国内でも2個程度、重さ約1キロ(ソフトボール大)の隕石が落ちているという。現在までに発見された隕石は、南極で約4万6千個、全世界で約6万個。大気圏に入る前はその50〜100倍もあった天体だと考えられる。