湯浅博の世界読解

無法国家には「免疫力」が必須

海を隔てた2つの無法国家は、どうあっても日本を無防備主義の眠りから覚ませたいらしい。北朝鮮は2006年と09年に続いて、国連決議を無視して3度目の核実験を強行した。他方、中国はわが尖閣海域に艦船を送り、航空機に領空を侵犯させ、あげくに海上自衛艦に射撃管制用のレーダーを照射した。

これで戦略的な生存本能に目覚めない日本の政治エリートがいたなら、速やかに退場ねがいたい。

北は国民が餓死しても核兵器を開発し、売るモノがなくなれば原子炉の使用済み核燃料まで売りつける国だ。金正恩第1書記に代わっても体質は変わらない。この無頼国家を野放しにした1級戦犯は北京・中南海の要人たちである。

北は恫喝(どうかつ)を兄貴分の中国から学んだ。初めに強硬策を打って緊張を高め、その緩和を理由に交渉へと持ち込む。共産中国の典型的な対外政策だった。

いまは、北に石油の9割と食料の3分の1を供給しながら、決して核開発をやめさせようとはしない。生かさず殺さずの現状維持こそ、北が米韓との緩衝地帯になるからだ。その中国は、東シナ海と南シナ海で同じように無法な島嶼(とうしょ)の分捕りを策しているから弟分をいさめるべくもない。

自衛艦に対する射撃管制用レーダーの照射を、小野寺五典防衛相が「武力の威嚇に当たる」といえば、中国外務省の報道官は「報道で知った」と責任を回避した。やがて、共産党中央と談合のうえ、「使用したのは通常の警戒管制レーダーだ」とウソをいう。