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食材納入汚職 和歌山・ホテルアバローム「選定委」発足 透明性確保へ

食材納入をめぐる汚職事件の舞台となった「ホテルアバローム紀の国」=和歌山市
食材納入をめぐる汚職事件の舞台となった「ホテルアバローム紀の国」=和歌山市

 公立学校共済組合が運営する「ホテルアバローム紀の国」(和歌山市)の食材納入をめぐる汚職事件は今年2月、元副支配人兼総料理長と元調理部長兼和食料理長の2人に執行猶予付きの有罪判決が言い渡され、一定の区切りがついた。事件を教訓に組合は、業者選定の透明性確保のため、ホテル外のメンバーも加えた「選定委員会」を設置。担当者は「いろいろな人のチェックの目が行き届くような形にする」と再発防止を期している。(藤崎真生)

 ■再出発

 選定委員会にはホテルの調理部門のほか、組合和歌山支部などのメンバーも参加。食材納入業者らとの年度ごとの契約について、業者の経営状況や取り引き状況などを確かめながら決める方式に改めた。

 事件で贈賄に関与していた鮮魚店との取り引きが停止したため、判決後の3月には早速、鮮魚部門の食材納入について新たに複数の登録業者を決めた。この登録業者と調理部門が、日々必要な食材を取り引きしていく。

 汚職事件の対象にもなったおせち料理など季節限定の食材を扱う場合などについては、「必要に応じて」(担当者)選定委員会の会合を開く方針だ。

 ■権限集中

 こうした見直しの背景には、従来、調理部門に食材納入の権限を集中させ過ぎたことが汚職事件を招いた苦い教訓がある。この構造的な問題は公判でも厳しく指弾された。

 判決では、元副支配人兼総料理長と元調理部長兼和食料理長が食材の購入や発注を取り仕切る立場にあったと指摘。「立場を利用して同様の行為を繰り返し、(贈収賄が)常態化していた」とした。

 組合によると、本来は食材の発注や業者選定などはホテル総務部の発注部門を通すルールになっていた。しかし実態は2人が特定の業者と長年、直接取り引きしていた。

 担当者も「直接のやり取りをなくすのが最も重要」とし、「今は信用を取り戻すため努力を重ねるだけ」と再発防止を目指す。

 ■古い慣習

 アバローム紀の国のように、調理部門の責任者が食材納入業者から売上額などの一部を受け取る慣習はホテル業界などで長年続いてきたとされ、捜査関係者も「そうした慣習があることは聞いている」と話す。

 ただ、アバローム紀の国の場合は、運営主体が教職員らでつくる公立学校共済組合のため、料理人も“みなし公務員”として贈収賄事件の対象になる特殊事情がある。

 平成27年には、鹿児島市の公立学校共済組合運営の「ホテルウェルビューかごしま」で冷凍食品納入などをめぐり、業者から賄賂を受け取ったとして、当時の副支配人兼調理長と副調理長が収賄容疑で逮捕されている。

 アバローム紀の国の2人も、事件が発覚する前から違法性の認識はあったとみられる。公判では、2人の間で賄賂の受け取りについて「大丈夫か」「現金の手渡しやから大丈夫やろう」とやり取りしていたことも明らかになった。

 判決によると、賄賂の受け取り期間は、元副支配人兼総料理長が平成14年から約18年間、元調理部長兼和食料理長が19年ごろから約13年間に及ぶ。

 検察側によると、受け取り総額は元総料理長が約2千万円、元和食料理長が約2500万円で、元総料理長は飲食代、元和食料理長はパチンコ代などに充てていた。

 公判で、元総料理長は「罪悪感が薄れていた。感覚がマヒしてしまった」、元和食料理長は「金に執着してしまった」などと反省の弁を口にした。

 捜査関係者は「同種の事件もある中、長年にわたり個人の利益を優先させたことは悪質。悪いことをすれば、いずれは捕まる」と話した。

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