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【千葉県政の課題 専門家に聞く】(3)児童虐待防止 川崎二三彦・子どもの虹情報研修センター長

子どもの虹情報研修センター 川崎二三彦センター長
子どもの虹情報研修センター 川崎二三彦センター長

 千葉県野田市の小4女児虐待死事件では検証の結果、実務担当者の対応が十分でなかったことが確認されたが、児相や自治体の体制が十分でなかったことも影響していた。こうした事案を繰り返さないためには、職員が対応の基本を身に付けるといったソフト面と、人員の増員や施設の増設などのハード面の両方を強化する必要がある。

 例えば、一時保護を解除するタイミングが不適切だったという事実があったが、一時保護所が慢性的に定員オーバーになっていた状況が、そうした対応につながった可能性もある。一時保護所の定員を25人から30人に増やすような場当たり的な対応では意味がなく、一時保護所の施設そのものを増設する必要がある。現在、船橋市が児相設置に向けた計画を進めているように、中核市が取り組むことも大事だが、千葉県としても推進すべきだと思う。

 平成元年に国連で「子どもの権利条約」が採択され、12年には児童虐待防止法が制定されるなど、社会としても虐待への関心は高まってきた。2年度に全国で約1100件だった児相の虐待対応件数は令和元年度には約19万4千件に増加した。千葉県の対応数も1万件を超えている。

 かつては、近所の家で子供が暴力を受けていても「その家のやり方だろう」と児相に相談することは少なかったように思う。だが、児童虐待防止法が制定されたことなどで、市民の意識が変化し、「あそこの家が心配だ」と相談が入るようになった。児相への相談件数は急激に増え、児相の業務量は増大している。

 また、昔は「子供が万引をする」「学校へ行かない」など親が子供のことを相談しに来ていて、困っている家庭を助けることが児相の業務の中心だった。しかし、親以外からの相談によって子供を保護することになり、保護者と対立関係になることも増えた。保護者と対立する状況での対応は非常に難しい。業務が増えているため、職員は増やさなければならないが、なかなかなりたい人が出てこないし、仕事は難しいので誰でもいいというわけにもいかない。職員を増やすことと合わせて、職員が一人前になれるようにサポートする態勢を作ることも必要になってくる。

 対応件数が増える中で、虐待を予防をすることも大事になる。例えば「貧困」や「孤立」は虐待の要因になりうる。生活が厳しく、余裕を持って子育てができないので子供につらく当たってしまう保護者もいる。社会の意識が変わって虐待が発見されるようになっただけでなく、貧困や孤立、格差などが増え、虐待自体の増加につながっている可能性もある。そうした要因を抱える家庭を発見し、それぞれの事情に合った支援をすることが大事だ。

 もっとも、虐待に関する政策は方向性として大きく異なることはない。少子化の時代に子供が亡くなっていく事件を防ぐためにも、新しい知事にはこうした課題に積極的に取り組んでいく姿勢を期待したい。

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