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【東日本大震災10年】記憶は風化する 追悼式は必要 津波被害の千葉県旭市長に聞く

震災10年を前にインタビューに応じる明智忠直市長=18日、旭市役所(長橋和之撮影)
震災10年を前にインタビューに応じる明智忠直市長=18日、旭市役所(長橋和之撮影)

 東日本大震災による津波被害で16人の死者・行方不明者が出た千葉県旭市の明智忠直市長(77)が3月11日で震災10年となるのを前に産経新聞のインタビューに応じた。震災時も市長を務めていた明智氏は「(震災)当時の記憶が風化していく状況になる。伝えていくことが必要」と述べ、震災10年後も規模を縮小しながら追悼式を続けていく考えを示した。10年の節目に市として慰霊碑を建立したことも明らかにし、「3・11」に除幕式が行われる。

      (長橋和之)

 --復興の状況は

 「平成24年に策定した復興計画で、現在まで完了していないものは津波避難道路のみとなった。津波避難道路についても、すでに着工しており、なるべく早い完成を目指す」

--液状化の被害もあったが

 「液状化では市道の52路線が被害をうけたが、震災からおよそ2年後にはすべて開通した。住宅地の地盤改良については、個人負担が高額となることもあり、市内では行われなかった」

--震災の教訓は

 「市としてもできる限りの対策はしていきたいが、予算の面でも限界がある。市民の皆さんに『自分の身は自分で守る』という意識を持っていただくことが必要になると感じた」

--市内の変化は

 「全壊した家屋などの片付けはほぼ完了しているが、建て直したところは3割程度にとどまる。被害の対策として沿岸部では堤防の高さを約6メートルになるようかさ上げを行い、高いところへ避難するための津波避難タワーを市内の4カ所に設置した」

--これからの課題は

 「(震災)当時の記憶が風化していく状況になっていくだろう。命を守るために逃げるということを伝えていかなければならない」

--被害を語り継ぐための取り組みは

 「震災翌年に被害状況などをまとめた『被災地あさひ』という冊子を作成した。小中学校で活用してもらい、次世代に被害を語り継ぎたい」

--コロナ禍の中で10年の節目を迎えるが

 「28日に予定していた津波避難訓練は緊急事態宣言を受けて延期とした。6月をめどに行いたいと考えている。3月11日の追悼式は例年より大幅に規模を縮小する。節目の年ということもあり、慰霊碑を建立した。その除幕式とともに実施する」

 《慰霊碑は高さ約220センチ、幅約120センチの石碑で、旭市横根のいいおかユートピアセンターの敷地内に建立された。設置工事は昨年12月に始まった。設置費用は約430万円》

--来年以降、追悼式はどうするのか

 「遺族の中には『もう忘れたい』と式に参加しない方もいて、出席者が減っている事実はある。だが、式を完全になくすことはできない。開催方式などを検討するが、来年以降も続けていく」

 ■千葉県旭市の被害 平成23年3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災で、旭市は震度5強を観測した。最大で7・6メートルの高さの津波が押し寄せ、関連死を含め14人が亡くなり、2人が行方不明となっている。建物被害は全壊336戸、大規模半壊434戸、半壊512戸、一部損壊2546戸、床上浸水677戸、床下浸水277戸。液状化被害も774戸であった。市の人口は10年前は約6万9900人だったが、今年2月1日時点で6万4665人に減少している。

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