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児童虐待~連鎖の軛 第4部(5) 子育て共感できる社会を 

預かった子供たちと遊ぶ堀江尚子さん(中央後ろ)=滋賀県草津市(南雲都撮影)
預かった子供たちと遊ぶ堀江尚子さん(中央後ろ)=滋賀県草津市(南雲都撮影)
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 涙がとめどなく流れた。6年前の平成27年2月、滋賀県草津市で開かれた、命の尊さを訴えるドキュメンタリー映画「うまれる」の上映会。監督がつづった「虐待防止宣言文」を読み上げた堀江尚子さん(48)は、集まった130人の前で思わず号泣した。

 宣言は、児童虐待の原因の一つとして、子育て中の親が心理的、社会的に孤立していることを挙げ、「私たちがともに考え、助け合い、行動することによって問題は改善に向かう。仲間をつくってください」と訴える内容だった。

 同市内で子育てサークルを主宰し、上映会を企画した堀江さんは宣言文を読み始めたが、言葉に詰まった。「私も、母親だからできて当たり前のことができず、自分を責めていた。誰かに助けてほしかった」。抱え込んできた思いを代弁するかのようなせりふに、一気に感情があふれかえった。

「完璧」いらない

 熊本県出身。大学卒業後、地元で予備校の英語講師になった。15年、結婚を機に夫の職場が近い草津市へ転居。友人もいない中、翌年に長男を出産し、20年までに計3人の息子を授かった。

 努力をすれば必ず成果は出る。そう信じて、受験も仕事も乗り切ってきた。しかし、子育ては授乳からつまずき、何一つ思い通りにならなかった。

 言うことを聞かない息子たちに、手をあげてしまった。壁に物をぶつけたり、チラシに火を付けたりして黙らせようとしたこともある。「家の中にいたら、怒鳴ってしまう」と、子育てサークルを開いた。

 周りの家庭は幸せそうに見える。なぜ自分だけうまくいかないのか。人前で「育児がしんどい」と口にできなかった。

 涙ながらに虐待防止宣言文を読み上げた上映会後、堀江さんに共感した参加者から、育児に悩んだ体験が次々と寄せられた。「なんだ、みんな一緒だったんだ」。完璧な母親にならなくてもいい。必要なのは助け合う勇気ではないか。そう思うことができ、一時的なサークルにとどまらず、子育て中の親を支援する仕組みを地域に根付かせるため、NPO法人「くさつ未来プロジェクト」を28年に立ち上げた。

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