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児童虐待~連鎖の軛 第4部(1)目黒5歳児死亡 見逃された母のDV被害

香川県内の秋祭りに出かけ、長女の船戸結愛ちゃんを抱っこする優里受刑者。この頃は元夫の雄大受刑者と再婚前で、虐待やDVも始まっていなかった=平成27年10月(大谷恭子弁護士提供)
香川県内の秋祭りに出かけ、長女の船戸結愛ちゃんを抱っこする優里受刑者。この頃は元夫の雄大受刑者と再婚前で、虐待やDVも始まっていなかった=平成27年10月(大谷恭子弁護士提供)
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 《刑務所での生活は今は少し辛(つら)いですが、ゆっくり時間をかけて慣らしていこうと思っています》

 昨年11月4日、栃木県内の女子刑務所から手紙が弁護士宛てに届いた。丸みのある文字で丁寧に書かれた文面に、10月下旬に東京拘置所から栃木刑務所に移った報告や《社会で生きていける精神力と体力を回復させていきたい》と出所後の決意がつづられていた。

 差出人はかつて、世間から「鬼母」と罵(ののし)られ、猛烈な批判の渦中にいた。平成30年、東京都目黒区で長女の船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5)=を死なせたとして保護責任者遺棄致死罪に問われた優里(ゆり)受刑者(28)だ。事件では「おねがい ゆるして」と記された結愛ちゃんのノートが見つかり、「母親なのに子供を守らなかった」といった糾弾する声が相次いだ。

優里受刑者から代理人の弁護士に宛てられた手紙=令和2年12月、東京都北区(小松大騎撮影)
優里受刑者から代理人の弁護士に宛てられた手紙=令和2年12月、東京都北区(小松大騎撮影)
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 裁判では、懲役8年の判決が下された。ただ、夫だった船戸雄大受刑者(35)=懲役13年が確定=から、看過できない心理的なDV(配偶者間暴力)を受け、逆らいにくい従属的な立場にあったとされた。裁判長は「結愛ちゃんは戻ってこないが、あなたの人生は続く。裁判が終わってもしっかりと考え、人生をやり直してください」と説諭。DVの影響が量刑上でも考慮された形となった。

 その判決から1年余り。優里受刑者から手紙を受け取った代理人の大谷恭子弁護士(70)は優里受刑者が、過去と向き合えるようになった心の変化を感じた。その一方で、事件を食い止められなかった社会へのわだかまりは拭い去れない。「誰かが手を差し伸べられなかったのか。結愛ちゃんは死なずに済んだはずだ」

夫の支配下に

 優里受刑者は24年に結愛ちゃんを出産。元夫と離婚した後、香川県内で同居を始めていた雄大受刑者と28年に再婚した。結愛ちゃんの誕生日には、家族でケーキを作ってお祝いした。どこにでもある普通の家庭。思い描いた理想の家族になれるはずだった。

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