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現金500万円、賄賂か献金か 線引き難しく 吉川元農水相本格捜査

 札幌市の吉川貴盛事務所に家宅捜索に入る東京地検特捜部の係官ら=25日午前9時35分
 札幌市の吉川貴盛事務所に家宅捜索に入る東京地検特捜部の係官ら=25日午前9時35分

 鶏卵生産大手「アキタフーズ」(広島県福山市)グループの元代表(87)から衆院議員を辞職した吉川貴盛元農林水産相(70)が現金500万円を受領したとされる問題は、東京地検特捜部などが吉川氏の事務所などの家宅捜索に踏み切ったことで刑事事件に発展する見通しとなった。特捜部は現金の趣旨を精査しているが、政治資金収支報告書に記載のない政治資金規正法違反に過ぎないのではないかとの指摘もあり、賄賂と認定できるかが焦点となりそうだ。

 農林水産業など1次産業の事業者団体は、対象となる国の政策によって事業が左右されることも多く、「社交儀礼」とも言える政治献金を積極的に行っていることで知られている。

 ある酪農関係の団体の令和元年分の収支報告書によると、族議員を中心とした20人近くの国会議員らのパーティー券を400万円以上購入し、寄付として政治献金も行っている。養鶏業界でも現在は解散している団体が積極的に献金をしていたこともあった。

 元代表は現金提供を認めた上で「業界のためだった」と供述。現職大臣だった吉川氏に対し、業界団体代表とともに、家畜にとってストレスの少ない飼育環境を目指す「アニマルウェルフェア」(AW)について、業界の要望を伝えていたことも判明している。

 検察OBの弁護士は「長年にわたり現金提供があった場合などは、通常の献金とみなされやすい」と説明する。業界の献金先として、現職大臣は最も効果的な存在ともいえる。

 ただ、賄賂と認定できなかった場合でも、吉川氏の政治団体の収支報告書には元代表から500万円の収入の記載はなく、政治資金規正法(不記載)に違反する可能性が高い。先の検察OBの弁護士は「規正法という形式犯で、(立件額として)500万円は少なすぎる。特捜部は収賄容疑で立件したいのだろう」と推察する。

 大臣は献金先としては理想的な一方で、幅広い職務があり、現金を受け取った場合、その対価として何らかの便宜を図ったとなれば贈収賄と認定されやすい存在といえる。前出の弁護士は「線引きは難しいが、今回の現金提供は収支報告書に記載のない裏金で、心証は非常に悪い」と解説。関係者によると、元代表は「違法性を認識していた」との趣旨の供述もしているという。

 特捜部は押収資料を精査し、入院中の吉川氏の体調面も考慮しながら、立件の可否や適用罪名を慎重に検討していくとみられる。

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