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裁判官5人、賛否割れる 袴田事件高裁差し戻し 

 昭和41年に静岡県で一家4人が殺害された強盗殺人事件で、死刑が確定し再審請求していた元プロボクサー、袴田巌元被告(84)について、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は、再審開始を認めなかった東京高裁決定を取り消し、審理を高裁に差し戻す決定をした。袴田さんの釈放は今後も続く。

 第3小法廷は、弁護団が無罪主張の柱としたDNA型鑑定の信用性を否定した一方、犯行時の着衣とされた5点の衣類に残る血痕の変色状況について「審理が尽くされていない」と判断した。再審開始の可否の方向性は示さず、高裁の審理に委ねた。

 決定は22日付。裁判官5人中3人の多数意見で、2人は「再審を開始すべきだ」と反対した。再審請求の特別抗告審で賛否が割れるのは異例。

 争点は5点の衣類が袴田さんのものかどうか。衣類は、事件から1年2カ月後に現場付近のみそタンク内から見つかった。血痕などから衣類が袴田さんのものと認められたことが、確定判決で有罪の有力な証拠となった。

 これに対し第3小法廷は、衣類に付着した血痕について「現時点の証拠は1年余りみそ漬けしても赤みが残る可能性があるのか判断するには不十分」と指摘。衣類が袴田さんのものかどうかを見極めるため、高裁で変色の化学反応について専門的な知見に基づき検討するよう求めた。

 最高検の斎藤隆博刑事部長は「誠に遺憾。決定の内容を精査し、適切に対処したい」とコメントした。

 袴田さんは昭和55年に死刑が確定したが、静岡地裁は平成26年3月、犯行着衣とされたシャツに付着した血痕のDNA型を根拠に再審開始を決定。約48年ぶりに釈放された。しかし東京高裁は30年6月、地裁が認めたDNA型の鑑定結果を否定し、再審開始を取り消した。

 袴田事件 昭和41年6月30日、静岡県清水市(現静岡市清水区)のみそ製造会社の専務の男性宅が全焼、焼け跡から専務と妻、次女、長男の遺体が発見された。強盗殺人容疑などで逮捕された住み込み従業員の袴田巌さんはいったん自白した後、無罪を主張し、55年に最高裁で死刑が確定。第1次再審請求は平成20年に最高裁が特別抗告を棄却した。その後、姉の秀子さんが第2次再審請求を申し立て、審理が続いていた。

 おことわり 再審開始を認めないとした東京高裁決定が取り消されましたので、袴田巌元被告としてきた呼称を「袴田巌さん」とします。

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