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証拠検討さらに促す 最高裁決定、みそ漬け着衣めぐり 袴田事件

最高裁の決定を知らせる文書が届いた自宅で過ごす袴田巌さん。裁判のやり直しを認めなかった東京高裁決定を取り消し、審理が差し戻されることになった=23日午後、浜松市
最高裁の決定を知らせる文書が届いた自宅で過ごす袴田巌さん。裁判のやり直しを認めなかった東京高裁決定を取り消し、審理が差し戻されることになった=23日午後、浜松市

 袴田事件の第2次再請求審で、最高裁第3小法廷は、弁護側が無罪の根拠として提出した証拠のうち、衣服のみそ漬け実験をめぐる東京高裁決定について「審理が尽くされておらず違法」と認定した。高裁は前回と異なる観点で証拠の検討を続けることになる。

 弁護側が第2次再審請求審に提出した主な証拠は「DNA型鑑定」と「みそ漬け実験」の2点。確定判決は、血痕の付いたシャツなど5点の衣類を袴田さんが犯行時に着ていたと認定し、有罪の有力証拠としていた。弁護側の新証拠はいずれも5点の衣類に関するもので、静岡地裁と東京高裁の審理で特にクローズアップされたのは、弁護側が「血痕は袴田さんのものではない」と主張するDNA型鑑定の手法の有効性だった。

 しかし、審理を差し戻す最高裁の判断に直結したのは、みそ漬け実験の評価だった。事件から1年2カ月後、現場付近のみそ工場のタンクから5点の衣類が見つかったが、弁護側は血の付いた衣服を長期間みそに漬け込む実験を実施。シャツより黒く変色したことから、5点の衣類が長期間みそに漬かっていたのではなく、発見直前に証拠の捏造(ねつぞう)を狙う第三者によってタンクに入れられた可能性を主張した。

 この実験結果も地裁、高裁で評価が割れていたが、最高裁が着目したのは、みその色が醸造中に濃くなる化学反応(メイラード反応)だった。化学反応の詳細について、高裁段階で初めて弁護側から主張があったものの、検察側が反論する機会がなかった。

 高裁は、長期間みそに漬けても血痕に赤みが残る可能性を示唆するなどして地裁決定を取り消したが、第3小法廷は高裁の判断を「反応の専門的知見について審理を尽くさず、影響を過小評価した誤りがある」と指摘。「決定を取り消さなければ著しく正義に反する」とし、差し戻し審では、5点の衣類が本当に1年以上みそ漬けにされていたのか判断するよう求めた。

 最高裁決定には、「再審を開始すべきだ」とする林景一裁判官と宇賀克也裁判官の反対意見もついた。2裁判官は、DNA型鑑定もみそ漬け実験も「有罪認定に疑いを生じさせる新証拠」とし、静岡地裁決定を支持した。第2次再審請求審の申し立てからすでに12年以上。2裁判官は「化学反応の審理のためだけに差し戻して時間をかけるのには反対だ」とした。

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