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「また卒業式で響いて」熊本の被災ピアノ、阪神・東日本の関係者が修復へ

7月の豪雨災害で水没した熊本県球磨村立渡小の体育館で見つかったグランドピアノの前で、写真を撮る調律師の遠藤洋さんら(右から3人目)ら=10月29日撮影、「MOVE」提供
7月の豪雨災害で水没した熊本県球磨村立渡小の体育館で見つかったグランドピアノの前で、写真を撮る調律師の遠藤洋さんら(右から3人目)ら=10月29日撮影、「MOVE」提供
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 7月の豪雨で被災し、水没した熊本県球磨(くま)村の小学校のグランドピアノを修復、再び子供たちのもとへ-。こうした計画が、インターネットで資金を調達するクラウドファンディング(CF)で進んでいる。関わるのは、阪神大震災や東日本大震災の被災地に住む和太鼓奏者や調律師ら。グランドピアノを「復興への希望」と位置づけ、来年3月の卒業式での校歌演奏を目指している。(石川有紀)

 9月下旬、球磨村の村立渡(わたり)小学校。濁流で床がめくれあがった体育館に、泥まみれのグランドピアノが倒れていた。豪雨から約2カ月以上が経過していたが、教室には七夕にちなんだ児童の作品が残されたままだった。

 「時間が止まったような光景に言葉を失った」。渡小を訪れた兵庫県尼崎市のボランティア団体「MOVE」代表の和太鼓奏者、山中裕貴さん(32)はこう振り返る。

 渡小は、球磨川の氾濫で14人が犠牲になった特別養護老人ホーム「千寿園」に隣接する。児童らは、村内の別の小学校に設けたプレハブ校舎で学校生活を再開。だが、現在も約7割は自宅に戻れず、仮設住宅などから通学を続けている。

 山中さんは6歳のとき、尼崎市で阪神大震災を経験。家族は全員無事だったが、すべての家具が倒れ、水道・電気は止まり、不安な数日間を過ごしたことを今も覚えている。

 「阪神大震災の被災地は多くの人に支えられ復興した。大人になった今、恩返しをしたいと思った」。これまで東日本大震災や西日本豪雨などの被災地で、ボランティアに汗を流してきた。球磨村では、炊き出しや民家の泥かきなどの活動に従事。地元小学生に菓子の詰め合わせや遊び道具を贈ったことをきっかけに、渡小に案内された。

 濁流にのまれたグランドピアノを前に、学校に戻れない子供たちに改めて思いを巡らせた。「思い出が詰まったピアノで、卒業式に校歌を歌わせてあげたい」。学校側に提案し、修復に向けた計画が動き始めた。

 ピアノは昭和59年に購入されたもの。泥の洗浄に加え、反り返った鍵盤やさびた弦など、大半の部品を取り換える必要があった。メーカーに問い合わせたが、部品の在庫はなかった。

 修復は難しいとあきらめかけたとき、山中さんはインターネットである男性の存在を知った。福島県いわき市の調律師、遠藤洋さん(61)。東日本大震災で津波被害に遭ったピアノを修復し、「奇跡のピアノ」としてよみがえらせた実績で知られる。「この人しかいない」。山中さんは直談判した。

 「待っている子供たちがいるなら」と、遠藤さんは依頼を快諾。山中さんらは11月下旬、費用を工面しピアノを福島へと運んだ。修復には2~3カ月を要する見込みといい、今回のCFでは運搬費と修復費など約200万円の調達を目指している。

 現在は、福島で本格的な修復作業が進んでいる。球磨村の森佳寛教育長は「山中さんたちの子供たちに対する熱い思いで、遠い福島まで縁をつないでくれたことに胸が熱くなった」。山中さんは「子供たちの成長を見守ったピアノが、村の人たちの復興への希望になれば」と願っている。

 CFサイト「レディーフォー」で受け付ける。支援は3千円から可能で、来年1月29日まで受け付ける。

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