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【TOKYOまち・ひと物語】「日本に恩返しを」露国籍初の弁護士・ベロスルドヴァ・オリガさん

ロシア国籍で初めて日本の弁護士となったベロスルドヴァ・オリガさん(本人提供)
ロシア国籍で初めて日本の弁護士となったベロスルドヴァ・オリガさん(本人提供)

 ロシア国籍で初めて日本の司法試験に合格した、駆け出しの弁護士がいる。欧米にオフィスを構えるポールヘイスティングス法律事務所の東京事務所に所属するベロスルドヴァ・オリガさん(26)だ。事務所が扱う案件は国際仲裁などグローバル企業の法務アドバイスが主だが、「私を育ててくれた日本に恩返ししたい」という思いから、個人の案件なども手掛け、忙しい日々を送っている。(山本浩輔)

 ロシア・シベリアの中心都市、ノボシビルスクに生まれ、物理学の研究者である父親が東北大に招かれ家族で移住、高校まで宮城県で過ごした。家庭内の会話はロシア語で、教育熱心な母親の指導で英語もネーティブレベルで身に付けた。

 「小学生の頃、兄が弁護士になると言うので、私も『負けたくない』という思いから目標にしました」と、よどみない日本語で話す。入学したインターナショナルスクールが基準を満たしていないためすぐに閉校し、授業料が返ってこないという苦い経験を味わい、法律を学ぶ重要性を認識していったという。

 慶応大法学部で「一票の格差」の是正活動に力を入れる伊藤真弁護士と出会ったことが、進路を決定づけた。「一人の弁護士が組織を作り、たくさんの人を動かす様子を目の当たりにした」と、幼いころからの夢をかなえるべく勉学に勤しんだ。

 不法就労、国際詐欺

 東大法科大学院に進学し、在学中に予備試験・司法試験に合格。昨年末、弁護士登録をした。語学力と法律の知識を生かし、通訳にも取り組んでいる。

 「自分と同い年くらいの女性がホステスとして不法就労している現実などを目の当たりにしました。なぜそのような境遇になってしまったのか。私を頼ってくれる人の力になりたい、という思いが強くなっていきました」と話す。

 所属した事務所の案件は、近年注目されている企業間の国際的な取引などをめぐる紛争を裁判外で解決する国際仲裁など、グローバルな企業法務が主で、勉強の日々だ。弁護士登録後も法科大学院に通い、労働法などの専門知識を学び続けている。「雇っていただいた事務所に貢献するため、企業案件も受注できるようになりたい」

 一方で、事務所は1年目から個人として仕事を受けることを許可してくれた。個人の仕事は、関係者にロシア人がいたり、書類にロシア語が出てきたりとロシア絡みが多い。

 「新型コロナウイルスの影響なのか、インターネット上で国際ロマンス詐欺のようなものに引っかかり、お金を払ってしまう方もいて、被害届や告訴状を作成したり、支払った現金を取り返したりしています」

 国民性に感嘆

 「東京に住んでいると本当に他人思いの優しい方が多いと実感します」という。「海外ではマスクをつけない人も多いのに、日本ではみんなが一丸となって収束という目標に取り組んでいます」

 東日本大震災では仙台で被災した。「水の配給時に誰も割り込みもせずにきちんと並ぶ日本人。力を合わせて苦難を乗り越えようとする国民性が好きです」

 日本への思いをそう語り、「私の恩人はみんなそのような日本人。語学や法律で恩返しがしたい」と力を込めた。

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