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【主張】世界津波の日 「稲むらの火」を次世代に

 11月5日は「世界津波の日」である。

 日本の呼びかけで142カ国が共同提案国となり、2015年12月の国連総会で制定された。

 トルコとギリシャの間のエーゲ海で10月30日に発生したマグニチュード(M)7の地震では、市街地を襲った津波が車両を押し流した。

 津波による犠牲者が1万8千人を超えた東日本大震災から9年8カ月になる。04年12月のインド洋大津波の犠牲者は、22万人にものぼる。

 津波の恐ろしさを心に刻み、風化させることなく語り継がなければならない。自らの命を守り、次の世代にも「命を守る行動」を引き継いでいく決意を、世界の人たちと共有する「世界津波の日」としたい。

 世界津波の日は、旧暦の11月5日に起きた安政南海地震(1854年)で、多くの人命を津波から救ったとされる「稲むらの火」の逸話に由来する。

 上皇后さまは平成11(1999)年のお誕生日に際し、文書でのご回答で、「子供のころ教科書に、確(たし)か『稲むらの火』と題し津波の際の避難の様子を描いた物語があり、その後長く記憶に残ったことでしたが、津波であれ、洪水であれ、平常の状態が崩れた時の自然の恐ろしさや、対処の可能性が、学校教育の中で、具体的に教えられた一つの例として思い出されます」と振り返られた。

 学ぶこと、語り継ぐことの大切さが凝縮された上皇后さまのお言葉は、「世界津波の日」の意義と重なる。

 津波や洪水、土砂災害など水の猛威から命を守る手立ては、地域や時代にかかわらず「避難」しかない。新型コロナウイルスの感染リスクなどを理由に、避難行動をためらってはならない。コロナ禍の収束が見通せない状況が続く今こそ、「迷わず逃げる」という意識を徹底したい。

 「稲むらの火」の原作であるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の英語の小説は、「TSUNAMI」を世界に発信した。主人公のモデルは現在のヤマサ醤油(しょうゆ)の当主で、和歌山県広川町に私財を投じて築いた堤防は、昭和21(1946)年の昭和南海地震で津波被害の拡大を防いだ。津波防災の大切さを世界に発信し、次世代に繋(つな)ぐことの大切さを「稲むらの火」から学びとりたい。

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