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【台風19号から1年】「また来たら…」被害受けた栃木のイチゴ農家 不安消えず

2シーズンぶりの出荷を控え、育ててきたイチゴの苗の様子を見る大越秀紀さん=7日、鹿沼市久野(根本和哉撮影)
2シーズンぶりの出荷を控え、育ててきたイチゴの苗の様子を見る大越秀紀さん=7日、鹿沼市久野(根本和哉撮影)

 大きな被害をもたらした昨年の台風19号上陸から12日で1年を迎えた。浸水被害によって栽培していたイチゴが全滅した栃木県鹿沼市のイチゴ農家は、今シーズンの出荷へ向けて再起、順調に苗が育っている。一方、氾濫した近所の河川の復旧工事は道半ばで、「また大きな台風が来たらどうしようもない」と不安な日々も続く。

 「今年はとりあえず順調に育っていますよ」。鹿沼市久野(くの)のイチゴ農家、大越秀紀さん(42)は、建て直した真新しいビニールハウスを見つめながら語った。

 1年前、台風19号がもたらした大雨で近所を流れる思川(おもいがわ)が氾濫。県を代表する品種「とちおとめ」を栽培していたビニールハウスが浸水した。ハウス4棟分のイチゴはすべて出荷できなくなり、新調したばかりの農機具も壊れた。出荷約1カ月前のことだった。

 隣接する自宅も約90センチの深さまで浸水、一時は生活にも苦労した。この1年間は、近所の住民やボランティアの支援もあり、徐々に生活を取り戻してきた。蓄えを切り崩し、各種補助金も用いて、昨年中に自宅の修理は終了。ビニールハウスも建て替えて、今シーズンに向けたイチゴ栽培を再開させた。「助けてもらった人たちのおかげ」と感謝の思いを抱きながら、2シーズンぶりの出荷を待つばかりだ。

 一方、台風への不安が消えたわけではない。氾濫した思川の復旧工事が終わっていないためだ。思川は、被害以前の状況に戻す「原型復旧」ではなく、被害以前より治水機能を向上させる「改良復旧」の対象。その分、工期は時間を要する。

 しかし、県鹿沼土木事務所によると、工事は現在も進行中で、完了予定は令和4年度。完了前に台風19号級の大雨が降れば、再び氾濫する危険性がある。

 大越さんは「車や農機具は避難させることができるが、土地はこの場所にあるもので、動かせない。またあのレベルの台風が来たら終わり」と言い切る。不安と戦いながら、11月中旬の出荷を目指し、栽培を続けている。(根本和哉)

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