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【台風19号から1年】「孫の将来のために」「この年で家を…」 宮城・丸森町の仮設住宅の被災者、自宅再建を決意

仮設住宅で生活を送る船山護さん(右)とテルエさん夫妻は飼い猫の世話のため自宅跡地に足を運ぶことが日課となっている=宮城県丸森町
仮設住宅で生活を送る船山護さん(右)とテルエさん夫妻は飼い猫の世話のため自宅跡地に足を運ぶことが日課となっている=宮城県丸森町
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 各地に甚大な被害をもたらした台風19号は、12日で上陸から1年を迎えた。11人が犠牲となった宮城県丸森町では、現在も多くの被災者が仮設住宅に入居し、自宅再建に向けて懸命な日々が続く。

 「米蔵2つ、タマネギなどを栽培していたハウス9つに土砂が入ってきて、だめになってしまった」

 そう話すのは、町役場から約2・6キロほど離れた自宅で農業を営んでいた船山護さん(82)、テルエさん(78)夫妻だ。

 自宅と息子家族4人が住んでいた隣接する住宅は台風19号で浸水。自宅は取り壊し、現在は「県立伊具高校野球グラウンド」に整備された仮設住宅に家族6人で身を寄せる。ただ、農具を収めていた自宅跡地の小屋には台風前から飼っていた猫が1匹おり、世話のため仮設住宅から自宅跡地に通うのが2人の日課だ。

 周辺道路のアスファルトは、今もえぐられたまま。「あの夜は本当におっかなかったんだ」と護さんは当時を振り返る。昨年10月12日午後8時ごろ、自宅内の水かさはすぐに上昇し、階段前に流れ着いたタンスを足場にしてようやく2階にたどり着いた。翌朝、息子家族を含めた6人で自衛隊のヘリで救助された。

 仮設住宅には昨年12月から入居するが、自宅は町内の高台で地盤が固い場所に再建することが決定。2年後の完成を目指している。2人は「孫たちの将来のためにもいつまでも仮設にいるわけにはいかないからね。早く新しい家が建ってほしい」と口をそろえた。

■ ■ ■

 丸森町内の6カ所に整備された仮設住宅、みなし仮設には、現在も約260世帯が入居(9月1日現在)。町は復興対策として、新たに災害公営住宅の建設(50戸)、被災した町営住宅の再建(110戸)を決定した。それでも、仮設住宅に暮らす多くの被災者が目指しているのは、「自宅再建」だ。

 「この年齢になって新しい家を建てることになるとは思わなかった」

 旧町立丸森東中学校に整備された仮設住宅で家族6人と暮らす八巻とよ子さん(65)は台風上陸後、町中心部の自宅をリフォームした。しかし、土砂の匂い、浸水したことによるカビの発生が抑えられず、仮設住宅に入居。八巻さんも町内で自宅を再建する意思を固めたという。

 町では国の被災者生活再建支援金への上乗せとして町独自の住宅再建者向けの補助金を創設した。ただ、自宅再建には支援金、補助金だけでは賄えないのも事実。「役目を終えて、老後のためにと思っていたお金なのにね」。八巻さんは苦笑いを浮かべた。(塔野岡剛、写真も)

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