韓国で高層ビル火災、88人搬送 炎に包まれ屋上へ避難も

【ソウル=桜井紀雄】韓国南東部の蔚山(ウルサン)にある商業施設も入る33階建てタワーマンションで8日午後11時過ぎに起きた大規模火災では一時、上層階まで外壁に炎が広がり、マンションや近隣の住民ら数百人が避難した。聯合ニュースによると、9日朝現在、88人が病院に運ばれた。大半が煙を吸うなどした軽症だという。
屋上や上層階などに避難して取り残されていた77人が消防当局により救助された。人命被害は確認されていない。蔚山は南部の釜山(プサン)からも近く、人口約115万人の南東部の主要都市。
火の大半は約2時間で鎮圧されたが、9日朝現在も完全には消し止められていない。消防が鎮火を急ぐとともに、まだ屋内に取り残された人がいないか、捜索を続けている。
丁世均(チョン・セギュン)首相は、迅速な人命救助と鎮火に全力を挙げるよう指示した。
現場は地下2階、地上33階建てで、下層階にレストランなどがある。消防は、3階のテラスの外壁付近から出火した可能性があるとみているが、火元は判明していない。炎は強風にあおられ、外壁を伝って、建物の外側を包み込んだ。隣接する建物にも火が迫った。
はしご車が出動したが、高さが届かず消火は難航。着の身着のまま、はだしで避難する住民もいた。住居部分には127世帯、380人余りが暮らしているという。