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1審無罪の被告、2審で異例の有罪主張 前橋・女子高生2人死傷事故、控訴審初公判

 前橋市で平成30年1月、乗用車を運転中に事故を起こし女子高校生2人を死傷させたとして、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われ、1審前橋地裁判決で無罪となった無職、川端清勝被告(88)の控訴審初公判が6日、東京高裁(近藤宏子裁判長)で開かれた。弁護側は、1審での無罪主張から一転、有罪判決を求める異例の意見を述べた。

 今年3月の1審判決などによると、事故は30年1月9日に起きた。意識障害になった被告の運転する車が、自転車で通学中の高校1年、太田さくらさん=当時(16)=らに衝突。太田さんは死亡し、別の女子生徒も重傷を負った。

 1審で弁護側は無罪を主張したが、被告側は無罪判決後に1審とは別の弁護人を選任。事故は予見できたなどとして、有罪主張に踏み切ることにした。

 新たな弁護人はこの日、法廷で「事故を起こし、高校生を死亡、負傷させたことは被告も認識し、有罪を認めている。被告は高齢であり、罪を償って人生を終わらせたい。有罪の判決をお願いする」と述べた。検察側は改めて有罪を主張して結審した。判決は11月25日。

 検察側は1審で、被告が以前から物損事故を起こしていた上、目まいなどを医師や家族に相談しており「運転中に意識障害に陥ることが予見可能だった」として禁錮4年6月を求刑した。

 しかし、判決は、意識障害が「薬の副作用で低血圧になった可能性が高い」などと指摘。医師から副作用の説明を受けておらず、意識障害による事故の発生を「予見できたかは合理的な疑いがある」として無罪を言い渡した。検察側は判決を不服として控訴した。

     ◇

 「私たちは最初から争うつもりはなかった」。川端清勝被告の控訴審は、被告側の意向で1審から一転して有罪を主張する異例の展開となった。新たに選ばれた被告の弁護人は6日の控訴審初公判後、被告が「有罪を認める。申し訳ない」などと話していることを明かした。

 「もっと力ずくで止めていればよかった。それをずっと悔やんでいる」

 被告の家族は1審の無罪判決後、産経新聞の取材にこう話していた。1審での無罪主張は当時の弁護人の方針だったとし、「(被告が)悪いとしか思えず、無罪判決にはびっくりしてしまった」と声を落とした。

 事故当時、被告は85歳。低血圧などの症状で通院し、物損事故を繰り返していた。同居する家族が控えるよう強く伝えても隙を見ては運転し、家族が車の鍵を隠すことやタイヤの空気を抜くことまで検討していた最中だった。1審に出廷した被告の長男は「無罪は望んでいない」と述べ、罪を償うべきだと意見していた。

 新たな弁護人は6日、一転して有罪主張をした趣旨について、薬の副作用とは別に「過去の物損事故や目まいなどから運転を誤ることは予見できた」と説明。福祉施設に入所する被告と面会した際、有罪判決を求める意思を「相当の方法で確認した」と強調した。群馬弁護士会からも「被告の意思確認は慎重にするように」との指摘があったという。

 犠牲となった太田さくらさんの両親は6日、代理人を通じ「有罪主張に至った経緯を弁護人の口から聞くことができたことで、一定程度理解できた」などとのコメントを明らかにした。

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