持続化給付金詐欺が続発 警視庁が初の摘発
新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少した個人事業主らを支援する国の持続化給付金をめぐり、警視庁捜査2課が先月、詐欺の疑いで男3人を逮捕した。持続化給付金の詐欺事件の摘発は警視庁では初めて。3人のうち1人は、約1億円分の不正受給に関与した疑いも持たれている。同様の事件は全国的に続発。SNS(会員制交流サイト)を使って不正の手口を教えたりするグループもあるといい、警察当局が警戒を強めている。
■1億円を詐取か
警視庁に逮捕されたのは、松山市の無職、生田瑞貴容疑者(36)、いずれも職業不詳で、愛知県一宮市の山本武彦(45)、新宿区の帯金(おびがね)悠介(37)の3容疑者。
3人は6月、都内の30代の会社員の男を個人事業主と偽り、新型コロナの影響で収入が減ったとする虚偽の確定申告書の写しなどを提出。持続化給付金100万円を詐取したとされる。
捜査2課は、生田容疑者が別の詐欺グループを主導して約100人に虚偽の申請をさせ、計約1億円を詐取した疑いがあるとみている。
捜査関係者によると、山本容疑者が生田容疑者に対し、虚偽申請の名義人を集めるよう指示。書類の作成は山本容疑者が担っていたとみられる。
■「迅速給付」逆手に
持続化給付金は、今年1月以降、前年同月比で売り上げが50%以上減少した月があった場合、中小企業などに200万円、個人事業主には100万円を上限として支給されるものだ。
9月28日までに約340万件、計約4兆4千億円が給付されており、その約7割で申請から2週間以内に給付が完了している。
のためオンライン上で手続きが完結する仕組みだが、それを逆手に取って、不正受給が全国的に続発しているとみられている。
SNS上では「申請代行」をうたう投稿が多数、確認されており、これまでに山梨県警や兵庫県警、大阪府警などが指南役とされる大学生や税理士事務所での勤務経験者らを詐欺容疑で逮捕している。