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【群馬県民の警察官】前橋署地域課なんきつ交番主任 嶋村美里巡査部長(57) 市民巻き込む事件に怒り 

「群馬県民の警察官」に選ばれた嶋村美里巡査部長=前橋署なんきつ交番(椎名高志撮影)
「群馬県民の警察官」に選ばれた嶋村美里巡査部長=前橋署なんきつ交番(椎名高志撮影)

 「寝耳に水といった状態。本当に、本当に驚いた」。受章の喜びを口数少なく語った。

 昭和57年、国鉄(現JR)職員として社会人のスタートを切った。配置は保線区。ハードな毎日を送る中、62年の分割民営化が転機となった。

 「このまま仕事を続けていくことへの不安もあり、鉄道公安職員からの採用を活用する形で警察官を志した」

 初任地は高崎署嘉多町交番。ある日、事件発生で出動する際に「無意識に遠回りして現場に向かおうとした自分がいた」という。そんなとき、コンビを組んでいた巡査長から「現場に行くんだよ」と諭されたことが今も心に残る。「警察官として当たり前のことを、当たり前のようにやることの大切さを教えてくれた」と振り返る。

 初手柄は、逃走した窃盗被疑者の身柄確保だった。交番に入ってきた無線連絡で自転車に飛び乗り、単独で捜索。物陰に隠れた人影を見逃さず、警棒を片手に「出てこい」と呼びかけると素直に出てきて目の前に正座した。「後になって犯人は『警察官が怖かった』と供述したが、自分も怖かった」と笑う。

 高崎署勤務中に刑事になり、平成11年には機動捜査隊へ。強烈な経験となったのが15年1月25日に起きた前橋市のスナック銃撃殺人事件だった。

 暴力団抗争で店内にいた元組長を狙った2人が銃を乱射。居合わせただけの一般市民3人を含む4人を射殺し、元組長ら2人に重傷を負わせた。

 「一報は110番通報。駆け付けると現場はワサワサしていた」。立ち上がった捜査本部に専従し、「指示に従って張り込みや家宅捜索、取り調べの立ち会いなどいろいろなことを経験した。市民が巻き込まれたことへの怒りがあった」。翌年、犯人2人と殺害指示を出した暴力団組長を逮捕。「刑事として、情報を吸い上げる組織力のすごさを学んだ」という。

 「若い人に譲る」と21年に地域警察部門へ異動した。交番勤務は2度目だが、「自然体で地元の人たちと交流したり、相談を受けたりすることが楽しい」とやりがいを感じている。

 「できることは自分でやる」が信条だ。「部下が『やりたい』と言えばまかせる。やる気が感じられない部下には、自分がやっているところを見せるしかない」

 妻の里美さん(52)の希望で、10年前から里親を務めている。現在は5人目となる2歳女児を養育中だ。「子供が好きなので負担は感じない。普通の人生を送れるよう、ほんの少し手助けしているだけ」と柔和な表情を見せた。(椎名高志)

=おわり

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