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【群馬県民の警察官横顔】高崎署交通課事故係長・岩渕恭一警部補(59) 公正な捜査心掛け

「群馬県民の警察官」に選ばれた岩渕恭一警部補=高崎署(橋爪一彦撮影)
「群馬県民の警察官」に選ばれた岩渕恭一警部補=高崎署(橋爪一彦撮影)

 高校時代に柔道部に所属していたのが縁で、担任教諭に勧められるまま警察官の採用試験を受けた。「仕事の大変さなど何も知らなかった」

 昭和55年4月に巡査を拝命。前橋東署の派出所を振り出しに前橋署、高速道路交通警察隊沼田分駐隊員、大泉署、館林署などを経て平成29年3月から高崎署交通課事故係長を務める。

 勤続40年余りのうち交通警察歴が34年。最も強く記憶に残るのは24年4月29日に藤岡市の関越自動車道で起きた高速バス居眠り運転事故だ。バスが側壁に激突して大破。乗客7人が死亡、乗客乗員39人が重軽傷を負う凄惨(せいさん)な事故だった。

 けがの回復を待って取り調べた中国出身の運転手は日本語が未熟な上、荒っぽい性格だった。通訳を介し、なだめながら話を聞き出すのに苦労した。バスの無許可営業なども行っていたため、取り調べは約1カ月かかった。

 「日本人の感覚からすると、7人が亡くなる大事故を起こしておきながら、それほど反省している様子は感じられなかった」と振り返る。

 現在はデスクワークが中心だが、宿直のときは事故現場に率先して向かう。常に心掛けているのは「交通事故は公正中立に捜査しろ」。先輩から教わった言葉だ。

 衝突、追突、居眠り、酒酔いなど事故は多岐にわたる。当事者から話を聞き、車両の破損状況、スリップ痕、目撃者からの証言などを徹底的に調べ、原因を解明する。発生時の映像は貴重な証拠となる。「ドライブレコーダーの装着を義務化してほしい」と切に願う。

 事故でけが人が出たときは、病院に駆けつけた家族らに誤解が生じないよう言葉を選んで事故状況を慎重に説明する。示談交渉などでのトラブルを避けるためだ。

 県内の交通人身事故は昨年が1万1831件で、死者は61人。今年は8月末時点で5731件、28人が死亡した。

 「わざと事故を起こす人はいない。一瞬で加害者にも被害者にもなりうるのが交通事故。安全運転を心掛けてほしい」と警鐘を鳴らす。

 上司の交通官、木村岳史警視は「寡黙だが、真面目で若手の模範となるような交通警察官」と評価する。定年まであと1年半。これまで現場で蓄積してきたノウハウを優秀な若手に伝えていくのが責務と考えている。

 「今があるのは上司、同僚、一緒に汗を流した仲間のおかげです」と感謝した。

(橋爪一彦)

 群馬県民の安全と治安を守るため昼夜、地道な任務を続ける警察官の功績をたたえる第44回「群馬県民の警察官」(産経新聞社主催)の表彰式が23日、前橋市の群馬会館で行われる。表彰を前に、受章者3氏の横顔を紹介する。

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