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東日本大震災から9年半 「食で活気を与えることが自分の仕事」 故郷・女川でピザ店開業させた奥津圭祐さん(39)

「町のさらなる復興に食で協力したい」と意気込む奥津圭祐さん=宮城県女川町
「町のさらなる復興に食で協力したい」と意気込む奥津圭祐さん=宮城県女川町

 東日本大震災は11日で発生から9年半。震災で甚大な被害を受けた宮城県女川町で、同町出身の奥津圭祐さん(39)が今年、本格ピザが売りのイタリアンレストラン「IL GABBIANO(イル・ガッピアーノ)」をオープンさせた。故郷に戻った奥津さんを突き動かしたのは「生まれ育った女川の復興に貢献したい」という思いだった。

 店は今年4月、飲食店などが立ち並ぶ町の商業施設「シーパルピア女川」の一角にオープン。新型コロナウイルスの感染拡大の中での船出だったが、テークアウトに絞り営業したところ、本格ピザの味が周囲の評判を呼んだ。5月26日からは店内営業をスタート。奥津さんは「軌道に乗っている」と笑顔を浮かべる。

 高校卒業後、仙台市内の調理師専門学校に進学した奥津さんは、20代後半でワインソムリエの資格を取るため上京。震災当時は東京のレストランで修業中だった。津波が故郷をのみ込む様子は、会員制交流サイト(SNS)で確認したという。

 「幼いころから、大きな地震の後は高台に逃げるよう教わっていた。(震災時に)もし、女川にいたら周囲に避難を呼びかけられたかもしれない」。東京にいて何もできなかった自分への歯がゆさが、故郷に帰る決め手になった。

 平成23年9月にワインソムリエの試験に合格し、11月には仙台市内の飲食店に再就職した。イタリアンレストランの設立に携わった経験を生かし、女川でイタリアンレストランの開業を決意。30年から1年半はピザ作りの修業に明け暮れた。今年オープンにこぎつけた店では、イタリアからピザ釜を輸入し、使用するチーズなどもイタリア産。「本物のイタリアンを町の人々に味わってほしい」という奥津さんのこだわりが、店には随所に散りばめられている。

 復興が進む故郷に「町には復興への意志が根付いている。町の人の話を聞くと自分も奮い立つ」と力を込める。「食で町に活気を与えることが自分の仕事」。奥津さんの決意は固い。(塔野岡剛、写真も)

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