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【台風15号1年(下)】ゴルフ練習場倒壊 土地売却進まず補償額未確定

台風15号の影響で倒壊し、民家を直撃したゴルフ練習場の鉄柱と防球ネット=昨年10月6日、千葉県市原市(白杉有紗撮影)
台風15号の影響で倒壊し、民家を直撃したゴルフ練習場の鉄柱と防球ネット=昨年10月6日、千葉県市原市(白杉有紗撮影)

 昨年9月の台風15号(令和元年房総半島台風)では、千葉県市原市のゴルフ練習場「市原ゴルフガーデン」の高さ30~40メートルの鉄柱13本が防球ネットごと倒れ、民家21軒が壊れる被害が出た。オーナー側は練習場の土地を売却して住民への補償に充てる方針を示しているが、隣地との境界確定などに手間取り売却は完了しておらず、補償額の確定に至っていない。

 「翌朝になって、被害を確認したときは映画のセットのようだった」。練習場の鉄柱が自宅屋根を直撃し、バレーボール大の穴が複数空く被害を受けた会社員の松山高宏さん(56)は被害直後の状況をこう振り返る。

 鉄柱と防球ネットが練習場の西側にある住宅に向かって幅約百数十メートルにわたり倒壊したのは昨年9月9日未明。近くの駐車場に駐車していた松山さんの車にも鉄柱が当たり、車は廃車になった。松山さんは破損した屋根や壁、天井などを補修して生活を続けているが、住み続けることを諦め、更地にした被害住宅も10軒以上ある。

 当初、練習場の代理人となった弁護士は「(自然災害なので)家の修理は各自が火災保険でやってほしい」と鉄柱の撤去以外の補償は一切しない方針を提示。被害住民との間に対立が生じた。

 その後、練習場のオーナーは当初の弁護士を解任して類似事案で実績のある弁護士を代理人に起用。練習場の土地を売却して住民への補償に充てる方針を示し、現在は県弁護士会の斡旋(あっせん)人が間に入り災害用の裁判外紛争解決手続き(ADR)が行われている。

 しかし、練習場の土地は隣地との境界が明確でないなどの問題が浮上して売却手続きが難航。被害住民への補償額はいまだに決定していない。練習場の代理人弁護士は産経新聞の取材に「年内の土地売却に向けて手続きを進めており、売却が終了次第、被害者へ賠償を行う」と回答した。

 息子夫婦の家が被害に遭った男性は「7月の話し合いでもまだ補償の金額が決まっていなかった。補償をあてにできないから息子は自分のお金で家を建て直すことにした」と語る。

 気候変動の影響で台風やゲリラ豪雨などの被害が大きくなっていることもあり、「ゴルフ練習場が更地になり、少し安心した部分もある」と話す松山さんだが、こうも付け加える。

 「補償がまとまれば家を再建する人も増えると思うが、まだしばらくかかる。この辺りは建てた時期が近い家も多く、みんなよく知っている。夜の明かりが少ないのを見ると寂しい気持ちになる」

(長橋和之)

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