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千葉、台風15号1年 進む電源確保 電力会社と自治体 役割明確化

 「あれほど長期間、広範囲での停電は全く想定外だった」。千葉県市原市の県循環器病センターの村山博和院長(64)は1年前のことをこう振り返る。

 同センターは台風15号の上陸直前の昨年9月9日午前4時20分から11日午前6時ごろまで停電した。一旦回復した電気は、同日午前10時50分~午後2時半まで再び停電するなど、病院の機能に大きな影響が出た。

 災害拠点病院の同センターは通常時の約6割の電力を賄える自家発電装置はあるものの、当時の燃料の備蓄は1日分。約100人の入院患者に使用する医療機器への電力供給を優先するため、照明やエアコンの使用を控え、外来診療の受付も中止した。村山院長は「東京電力からの情報が入らず、県を通じて医療機関への電力供給を優先してほしいと何度も申し入れた」と明かす。

 かつてない災害だったが、台風の数日前に病院全体で被災時の訓練を行っていたことで対応できた点もあり「備えの重要性を痛感した」と話す村山院長。

 同センターなど県立6病院を管轄する県病院局も「まずは県循環器病センターで、あらかじめ業者と契約し、通常の備蓄用とは別に予備の発電用燃料を保管しておく取り組みを進める」と説明する。

 県も大規模停電対策を進めている。県危機管理課によると、台風15号被害後、県内に11カ所ある防災備蓄倉庫には新たに出力の高い1台約50万円の高能力非常用発電機を1台ずつ配備。従来ある非常用発電機約400台とともに備蓄状況を近隣の市町村とも情報共有し、災害時の停電への備えをする。

 大規模な停電は医療機関だけでなく、県や各市町村にも大きな影響を与えた。

 市役所が一時停電した南房総市では大規模改修を終えた非常用電源が今年4月から稼働可能となった。市の担当者は「この電源で、3日間の庁内の電力を賄える」と話す。館山市は避難所の停電対策で、11カ所の避難所に備えてあるポータブル発電機を1台から2台に増やした。富津市は、166万円の予算で投光器と発電機を新たに8台ずつ購入した。

 東京電力パワーグリッドも、昨年の台風15号上陸前は県内の自治体とは全く結んでいなかった「災害時における停電復旧および停電の未然防止の連携などに関する基本協定」を、1年間で県と、千葉市や館山市や鋸南(きょなん)町などの40市町村と結んだ。倒木の除去などで混乱が生じた電力会社と自治体の役割を明確にして、早期の復旧につなげる。

 森田健作知事も「昨年、未曽有の被害を受けた。その経験をもとに私たちはしっかり対応していかなければいけない」と強調する。

 台風15号を教訓に、県や市町村、電力会社が連携して、被害を抑えるための歩みは着実に進んでいく。(永田岳彦)

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