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特別警報“もろ刃の剣”「出なくても警戒続けて」

台風10号が接近中の鹿児島県枕崎市の沿岸では、強い風の影響で波が高くしぶきをあげていた=6日午前(佐藤徳昭撮影)
台風10号が接近中の鹿児島県枕崎市の沿岸では、強い風の影響で波が高くしぶきをあげていた=6日午前(佐藤徳昭撮影)

 台風10号の勢力がやや弱まったことで、鹿児島県に特別警報を発表する可能性は低くなったと発表した気象庁。「安心要因とは受け取らず、引き続き最大級の警戒」を呼びかけるが、こうした事態は特別警報の「もろ刃の剣」としての側面をあらわにした。気象庁関係者は「注意を喚起するキーワードとしてはいいが、出ないと安心を招く危険性もある」としている。

昨年の15、19号より強い勢力

 特別警報の発表が6日朝に見送られた理由は、台風の中心が300キロメートルに迫る6日夜の時点で、低いほど台風が強いことを示す中心気圧の予想が5ヘクトパスカル上がったからだ。5日夜の時点では930ヘクトパスカルで、鹿児島などで特別警報が発表される基準をぎりぎり満たしていた。

 ただ、勢力が弱まったとはいえ、上陸すれば、台風として強いことに変わりはない。気象庁の中本能久予報課長は「要素としては何も変わっていない」と強調、昨年甚大な被害をもたらした台風15号や19号よりも「強い勢力を持ったまま接近する」と警告する。

避難遅れ相次いだ反省から

 気象庁では、大雨、地震、津波、高潮などで重大な災害の起こる恐れがある場合、警報を発表する。これに加え、警報の発表基準をはるかに超える大雨や大津波が予想され、数十年に一度の災害の起こるおそれが著しく高まっている際に、特別警報を発表し最大級の警戒を呼びかける。

 特別警報は平成23年の東日本大震災や同年の台風12号による豪雨災害で、避難が遅れる事例が相次いだ反省から生まれた。運用は25年に始まった。

 今年7月の九州を中心とした豪雨では、熊本や鹿児島など7県の一部地域で発表された。雨雲による局地的な雨量の予想は直前まで難しいことから、熊本や鹿児島では特別警報の発表が遅いとの指摘もあった。

「オオカミ少年のように…難しい」

 台風は進路がある程度はっきりしており、特別警報の「可能性」について接近の24時間前の段階で発表できたが、気象庁関係者は「あまりあおりすぎてもオオカミ少年のようになってしまい、難しい」と打ち明ける。

 気象庁天気相談所の立原秀一所長も「特別警報の代わりに過去の台風との比較を強調しても、被災地域は重く受け止める一方、受け止めなかった地域は安心してしまい、痛し痒しだ」と指摘。「気持ちが緩むのが一番怖い。たまたま発表基準の境界にあっただけで、特別警報に近いことに変わりはない。キーワードにとらわれず、警戒を続けてほしい」としている。

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