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検察側「悪質際立つ」VS弁護側「切り崩し」 河井夫妻公判で全面対決

(左から)河井克行被告、河井案里被告
(左から)河井克行被告、河井案里被告

 前法相夫妻が総額約2900万円を配布したとされる前代未聞の巨額買収事件の初公判が25日、東京地裁で開かれた。検察側は前法相で衆院議員、河井克行被告(57)と妻で参院議員、案里被告(46)について、100人への現金配布という全体像から、買収の悪質性を際立たせて立証を進める方針。弁護側は検察側の構図を否定し、100人を個々に尋問することで「買収目的」を切り崩す構えだ。新型コロナウイルスの感染防止対策が行われた法廷で、異例の全面対決の幕が上がった。

■2カ月ぶり公の場

 東京地裁の104号法廷。夫妻はいずれもダークスーツで白いマスクを着けて入廷した。夫妻は6月18日の逮捕後、東京拘置所の単独室に勾留されており、公の場に姿を現すのは逮捕前日の国会閉会日以来の約2カ月ぶりだ。

 裁判長に促され、証言台の前に並んだ夫妻は人定質問で職業を尋ねられると、克行被告は「衆院議員です」、案里被告は「参院議員です」とはっきりとした口調で答えた。

 検察側が冒頭陳述に1時間以上をかけ、夫妻が現金を手渡した地元議員ら100人について実名で日時や場所を早口で読み上げると、克行被告は熱心にメモをとり、案里被告はじっと目を閉じて聞いていた。

■切り取らず

 「(夫妻は)1人や2人ならまだしも、これだけ現金を配っていれば、もはや言い逃れはできない」。ある検察幹部は買収の立証に自信を見せる。

 東京地検特捜部などが手がける独自捜査の事件は、難解な政治、経済案件の立件にこぎつけるため、事件の全体や大部分ではなく、確実な証拠のある「固い部分」などを切り取るケースが多い。

 特捜部が平成30年3月に起訴したリニア中央新幹線建設工事をめぐるゼネコン大手4社による談合事件では、トンネル工事でも談合が行われていた疑いがあったが、駅工事に絞った立件となった。

 選挙違反事件では配布される現金の趣旨は弁解されやすく、検察当局は今回、逆の戦略をとった。大規模買収事件として一人でも多くの配布を立件した方が立証もしやすいと判断したためとみられる。多数の被買収者を積み上げるべく、オール検察体制で捜査に臨んだ。

■時期幅広く

 一方、弁護側は「検察は受領側を立件せず、いわゆる利益誘導する中で自白を得た。『裏取引』として極めて違法性が高い」と検察当局の捜査手法を批判。公判を打ち切る公訴棄却を求めた。

 「100人は刑事責任を問われていない。立件見送りを条件として検察側の都合が良いように供述を変えた可能性がないとは言えず、公訴棄却は議論の余地がある」。元裁判官の水野智幸法政大法科大学院教授(刑事法)はそう語る。

 弁護側は、100人の一人一人を証人尋問などで切り崩していく作戦だ。100人に対する現金の配布時期は幅広く、案里被告が立候補を表明した直後の昨年3月から同8月まで含まれている。

 夫妻や弁護側は初公判で、現金配布が選挙区内での地盤培養活動や自民党の党勢拡大活動といった通常の政治活動だったと主張した。

 被買収者の中には、取材に対し「検事の想定にそぐわない話は聞いてもらえなかった」などと捜査を批判するケースもあった。100人全員が検察側に有利な証言をするかは不透明で、12月まで行われる見込みの証人尋問の行方が注目される。

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