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【主張】富士山噴火想定 首都機能分散が不可欠だ

 富士山で大規模な噴火が起きた場合、気象条件によっては3時間程度で首都圏の広範囲に火山灰が降り積もり、鉄道や道路の不通、停電と通信障害、断水などにより、首都機能は深刻なまひ状態に陥る。

 政府の中央防災会議(会長・安倍晋三首相)の作業部会が試算・予測した被害想定である。

 富士山の直近の大噴火で最大級とされる「宝永噴火」と同規模の噴火を想定した。除去が必要となる火山灰は、東日本大震災の災害廃棄物全量の10倍に相当する約4・9億立方メートルにのぼるという。

 住民の命と暮らしを守り、首都機能の早期回復を図るために、火山灰の除去など多岐にわたる対策を検討し実行する必要がある。

 これと並行して、政治・経済の中枢機能と人口の一極集中によって増大した「首都圏のリスク」の分散を、強力に推し進めるべきである。

 新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大で、東京を中心とした首都圏は、国内で最も深刻な状況にある。30年以内の発生確率が70%程度とされるマグニチュード(M)7級の首都直下地震は「いつ起きてもおかしくない」とされる。気候変動により強大化した台風、豪雨による首都圏の広域浸水も懸念される。

 あらゆる災害に対して首都圏は弱く、危険な状況にある。このままでは、首都機能のまひにより日本が機能不全に陥ることも避けられない。

 多発する災害を乗り越えて日本が存続していくためには、首都機能の分散が不可欠だ。その認識を政府、国会、自治体、財界、国民が共有すべきである。

 これまでも、首都機能移転の機運が高まったことはある。平成2年には衆参両院が政府機能の移転を決議したが、東京都の猛反対や巨額の移転費用が障壁となって議論は打ち切られた。

 東日本大震災後にもリスク分散の観点から政府機能の一部移転が広く議論、検討された。しかし、現在進行中なのは文化庁の京都移転だけだ。

 各省庁の腰は重く、リスクの分散には程遠いのが現状だ。

 首都機能分散は膨大な費用と長い時間を要するが、今すぐ着手すべき喫緊の課題だ。自治体や省庁の利害にとらわれて、先延ばしにすることは許されない。

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