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【主張】地下鉄サリン25年 脅威は過去のものでない

 日本だけでなく世界が震撼(しんかん)し、慄然とした。

 平成7年3月、東京都心を通る地下鉄3路線で猛毒の化学剤サリンが散布され、13人が死亡、約6300人が負傷した。世界で初めて、大都市部で大量破壊兵器が使用された無差別テロ、地下鉄サリン事件から、20日で25年となる。

 一昨年には、この未曽有の事件を引き起こしたオウム真理教の麻原彰晃元教祖ら13人の死刑が執行された。

 だが、今も元教祖に帰依しているとされる後継団体は複数存在し続け、しかもその資産を増やしている。

 公安調査庁によると、後継団体の資産は約13億円で、過去最高額となっている。「オウムは過去の存在」とはとてもいえない。

 東京高裁は1月、最大の後継団体「アレフ」に被害者側への未払いの賠償金、10億2500万円を支払うよう命じたが、被害者側弁護士らによると、アレフは支払いに消極的だという。

 勧誘方法も巧妙化している。

 「薬膳料理を楽しむ」などと美容や健康促進を打ち出して教団施設に誘い込んでいる。信者数は横ばい状態ながら、毎年100人ほど若い世代の出入りがあるという。一連の事件を直接知らない世代に接近して心のスキにつけこんでいるのだ。

 事件で地下鉄職員の夫を亡くした高橋シズヱさんは「日本の社会には『一難去ったら終わり』としてしまうところがあるのではないでしょうか」と問いかける。

 高橋さんらは「事件を後世にも広く知ってもらおう」と、毎年3月に集会を開いてきたが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で中止となった。集会を今年で最後にすることを決めていたという。遺族や被害者の高齢化が進み、当事者を中心とした集会の開催は負担が重くなっていたからだ。

 事件の悲惨、非道ぶりを後世に伝えることは未来の日本や将来の世代を守る活動であり、被害者だけに背負わせてはいけない。

 化学兵器の脅威は過去のものではない。

 例えば、北朝鮮は大量の化学兵器を保有し、29年2月にはマレーシアの空港で、化学兵器の一種であるVXガスを用いて金正男氏を暗殺した。日本は化学兵器によるテロや破壊工作、攻撃への備えを怠ってはならない。

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