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バドミントン強豪 福島・富岡一中、受け継がれる気構え 大震災9年

 東日本大震災から11日で9年。「復興五輪」を掲げる東京大会の開幕まで140日を切った。メダルラッシュが期待されるバドミントン勢で、一大勢力となっているのが、桃田賢斗(NTT東日本)らを輩出した福島県富岡町の“富岡一中バドミントン部”出身者だ。と東京電力福島第一原発事故の影響で移転を繰り返し、現在は広野町の「ふたば未来学園中」バドミントン部となったが、震災を乗り越えた選手たちの気構えは脈々と受け継がれている。(久保まりな)

 富岡町にはかつて、富岡一中と富岡高での一貫強化のために全国からバドミントンの有望選手が集結し、全国に名をとどろかせていた。だが、震災後に起こった原発事故により、状況は大きく変わった。

 2011年3月11日、中学生たちは、いつものように体育館で練習をしていた。突如襲った大きな揺れ。そこから生活は一変した。福島第一原発から南に約10キロの位置していた同校を含め、富岡町は警戒区域に指定された。寮生活を送っていた部員も、他の自治体に避難したり、実家に戻るなど、離れ離れになった。

 再び顔を合わせることができたのは約2カ月後。富岡高が猪苗代高にサテライト校を設置し、中学生も猪苗代で練習できることになった。授業は猪苗代中で受け、寮は近くのロッジを借りての生活となった。

 専用の体育館があった一中時代と異なり、空いた時間に町の体育館を借りて練習する日々で、練習時間は7割ほどに減った。それでも、それを補うだけの成長を見せた。斎藤亘監督は「大きく変わったのは、子供たちの気持ち」。冗談半分でバドミントンをやっている場合ではない。今やれることに全力を-。そんな覚悟を感じたという。

 「明るく楽しく全力で」という姿勢で競技と向き合い、11年夏には「猪苗代中」として全国中学バドミントン大会(全中)に出場し、6種目中5種目で優勝。18年の全中では、6種目優勝の“完全制覇”を達成した。「諦めない心」を象徴する「富岡魂」は今も部旗に掲げられている。

 日本代表には、卒業生で震災当時、高校1年だった桃田や、中2と中1だった混合ダブルスの東野有紗、渡辺勇大(日本ユニシス)らがいる。中でも、東野は中3になって初めて、全中女子ダブルスで日本一を手にした。斎藤監督は「何か殻が破れたような感じだった。東野と渡辺は、震災が飛躍の大きなきっかけになったのかもしれない」と語る。

 富岡高を引き継ぐ形で「ふたば未来学園」(福島県広野町)が開校し、その後、中学校も併設されて中高一貫校となったため、昨年4月、ふたば未来学園に拠点を移した。「富岡一中バドミントン部」は「猪苗代中バドミントン部」となり、「ふたば未来学園中バドミントン部」となり、現在の部員は、富岡町にいた頃を知らない。それでも部員が富岡町に出向いてバドミントン教室を開くなど交流は続いている。

 富岡町で総合型地域スポーツクラブを運営する「さくら文化・スポーツ振興公社」の佐藤勝夫ゼネラルマネジャーは「富岡は(一中関係者の)原点。(五輪では)明るい話題を提供してほしい」と活躍を楽しみにしている。

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