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「最後の1人まで」 身元特定に執念燃やす宮城県警捜査班 大震災9年

身元不明者に関する捜査ファイルを精査する菅原信一検視官(左)、京野祐也検視係長=10日、宮城県警本部(塔野岡剛撮影)
身元不明者に関する捜査ファイルを精査する菅原信一検視官(左)、京野祐也検視係長=10日、宮城県警本部(塔野岡剛撮影)
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 東日本大震災での行方不明者の遺骨などを家族や親族の元へ戻そうと、身元の特定に執念を燃やす警察官がいる。震災直後に創設された宮城県警の「身元不明・行方不明者捜査班」に所属する菅原信一検視官(62)と京野祐也検視係長(37)。わずかな手掛かりを頼りに地道な捜査によって身元を特定した女性の遺骨の一部を昨年11月、親族へ引き渡した。11日で震災から9年。2人は「最後の1人まで親族の元に返したい」と意気込む。(塔野岡剛)

■身寄りのない女性

 震災時、県警鑑識課指導係として犠牲者のDNA採取に奔走した菅原さんが捜査班に配属されたのは、県警定年後の平成30年。京野さんは昨年着任したばかりだ。昨年、2人が本格的な身元の特定に乗り出したのが、石巻市門脇町で犠牲になり、震災の約2カ月後にがれきの中から遺体で発見された近藤あさのさん=当時(65)=だった。

 近藤さんは1人暮らしで身寄りがなく、行方不明者届が出されていなかった。津波にのまれた後、火災に巻き込まれたとみられており、遺体の損傷も激しかった。当時は身元不明の遺体として、石巻市の霊園でだびに付されていた。

 菅原さんは「年々、身元不明が減る中で、近藤さんのケースは捜査班でも懸念事項の一つだった」と振り返る。遺骨からDNAは採取できていたが、身寄りのなかった近藤さんの親族を探し当てることはできず、DNAでの身元の特定は不可能だった。

■入れ歯に着目

 身元特定の作業が難航する中、京野さんが着目したのが遺体に残された入れ歯の特徴だった。

 これまでの捜査で、近藤さんは自宅近くの歯科医院「門脇歯科クリニック」で受診歴があった。昨年7月、京野さんは入れ歯を手にクリニックへ向かった。

 歯科医師の古藤野寿広さん(57)は近藤さんのカルテを保管していた。また、入れ歯の特徴から、歯科技工士の伊藤弘さん(80)が製作したものと判明した。入れ歯には、伊藤さんが歯肉部分に施した独自の“溝”の痕跡がしっかりと残っていた。

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