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【ニュースの陰影】いつまで逃亡するつもり?

コラージュ=小川良
コラージュ=小川良

 日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)は長く、日本経済のグローバル化を象徴する存在であった。日本企業の閉塞(へいそく)を打破する黒船のように乗り込んできた経営者が、楽器ケースに隠れて逃亡するというような展開を、誰が予想できただろう。

 「私はいまレバノンにいる」という映画のような声明はメディアのほか、政府や日産など関係者を仰天させた。カリスマ経営者から被告人、さらに逃亡者へとキャラクターを次々変えるゴーン被告は世界を股にかけたトリックスターだ。特異で多面的なキャラクターは世界をひっかき回し、ゴーン被告を通して日本や時代を語る言説が海外メディアにあふれた。

 米紙ニューヨーク・タイムズは「取り調べの可視化導入などわずかな改革以外、日本の司法制度は何十年も変わっていない」として、検察の強い捜査権を批判する論考を載せた。エール大教授は米メディアで、カナダで拘束された華為技術(ファーウェイ)副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟被告も例にあげ、保護主義の高まりと海外にいる企業重役の身の危険を論じた。

 日本はレバノンと犯罪人引き渡し条約は締結しておらず、政府が取れる手段は限られている。森雅子法相はゴーン被告の記者会見を受け、異例の未明の記者会見を開いて反論した。たった一人の被告人のために、夜も寝られぬ対応を迫られたのだ。

 とはいえ、ゴーン被告が海外の安全地帯に逃げ込んで何を言おうと自らを正当化できない。その場所は日本の法廷しかないからだ。

 日本政府は司法の正当性や、社会が普遍的な価値観に裏付けられていることを示すためにも、あらゆる手段を講じ、逃亡者を連れ戻さねばならない。(坂本英彰)

 「ニュースの陰影」は国内外の事件や問題、注目を集めている話題などを象徴的なコラージュで表現し、毎月1回掲載します。

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