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【阪神大震災25年】次の巨大災害にどう立ち向かうのか 本紙座談会

 --現在の災害への備えに足りないものは何でしょうか

 宮本 地域防災に携わっていますが、圧倒的に知識が足りていません。管理組合で備蓄品を保管しても何があるか知らなかったり、発電機などがあっても使い方が分からない人は多い。どんな場面で必要か理解しないといけないが、災害を経験しないと考えが至らない。これらが広がらないと、本当に災害に備えているとはいえない。

 宮野 災害をなかなか自分事にできないんです。それと、経験は大事だが、引っ張られ過ぎてはいけない。阪神前は関東大震災の影響で大都市火災に、一方で阪神後は内陸型の大規模直下で多くの建物が倒れる想定にシフトしてしまう。神戸は斜面崩壊なども考えられる。直近の経験に引っ張られ過ぎてはいけない。

 上坂 過去の災害の1・5倍くらいの被害を想定して対応するのが理想。現実は難しいが、できる限り想定し、地域のつながりを強めておく。これに尽きるのではないか。新聞社としても、大げさにでも報道で警鐘を鳴らしていくことが必要。災害対策であおり過ぎて不都合なことは何もないから。

 --災害から命を守るために伝えたいことは

 宮本 大切な人を一人でも増やしてほしい。そうすれば救われる命もその分増えるはず。「救う」と思い続けることが、一人も取り残されないことにつながると思います。

 宮野 防災はハードが基本。かつてダム不要論もあったが、昨年の水害でやはり見直された。ソフトが支えるのはハードで対応できない部分。千年単位で起こる危険性のある災害に目配りし、もう一度ハード面から日本の防災対策を立て直す対策が必要です。

     ◇

【座談会参加者のプロフィール】

宮野道雄(みやの・みちお) 大阪市立大学特任教授・学長補佐。工学博士。大阪市立大学大学院生活科学研究科長・生活科学部長、理事兼副学長を歴任し、平成28年4月から現職。国内外の地震や風水害などの災害現場での調査のほか住宅内外で発生する日常生活事故に関する研究を重ね、安全で快適な生活環境の策定を目指す。被災地での産経新聞との合同調査により、問題を浮き彫りにしてきた。22年に地域安全学会技術賞、日本生理人類学会賞を受賞。

宮本好(みやもと・このみ) 震災約2カ月後の平成7年3月、神戸市垂水区生まれ。震災を機に創設された兵庫県立舞子高環境防災科卒業。神戸学院大卒業後、防災を楽しく伝えるNPO法人「プラス・アーツ」(同市)に就職。社会の課題に取り組む企業「HITOTOWA」(東京)に移り、防災士の資格を取得。防災意識を広める活動に加え、街の課題を人のつながりで解決する「ネイバーフッドデザイン」に取り組む。

上坂徹(うえさか・とおる) 昭和56年、産経新聞入社。奈良支局、社会部を経て、神戸支(総)局次長(デスク)のときに、阪神・淡路大震災に遭遇。最前線での取材を続け、被災地アンケートをまとめた「阪神大震災 はや5年まだ5年」(学芸出版社)の出版を手掛けた。その後、東京・大阪各本社文化部長を経て、大阪本社編集長。大阪・東京各制作局長、日本工業新聞社社長を歴任し、昨年7月、10年ぶりに編集委員として、編集に復帰した。

     ◇

【被災地アンケート】

 産経新聞大阪本社編集局は、平成7年の阪神・淡路大震災後、大阪市立大で教える宮野道雄氏とともに、毎月にわたって被災地でのアンケートを行ってきた。調査報道のひとつ「データジャーナリズム」と呼ばれる手法で、自宅や家族を失った被災者らの要望や不満、訴えなどをまとめて、「声」として世に届けることが目的だった。

 震災から1カ月後のアンケートでは、被害の大きかった神戸市長田、東灘区などの被災者の9割近くが「神戸を離れたくない」とし、ふるさとへの愛着の強さを伝えた。作家の故・田辺聖子さんが著書でこの報道に触れ、「古風な人肌のぬくみを地熱のように持っている。それを知って私はびっくりした」と記すなど反響を呼んだ。

 その後も、23年の東日本大震災、28年の熊本地震、30年の西日本豪雨の被災地でもアンケートに取り組んだ。

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