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【写真で振り返る2019】(9)過去最強クラス・台風19号 北陸新幹線のむ黄土色の波

台風19号で千曲川の堤防が決壊し、濁流にのまれる北陸新幹線の車両=10月13日、長野市(本社ヘリから)
台風19号で千曲川の堤防が決壊し、濁流にのまれる北陸新幹線の車両=10月13日、長野市(本社ヘリから)

 「長野で北陸新幹線が浸水している。最優先で取材してくれ」。10月13日の早朝、出社したばかりの私に、前夜から一睡もせずに情報収集していたデスクが告げた。

 過去最強クラスといわれた台風19号は、甚大な被害を東日本にもたらし、長野市では千曲川の堤防が決壊した。

 八尾空港(大阪府八尾市)から本社ヘリで飛び立ち、現地に向かう。

 眼下に広がる信州の穏やかな風景は、山を越えて長野市上空を進むにつれ、黄土色の泥水に覆われた家並みに一変。青と白のデザインが美しい北陸新幹線も無残に浸水していた。

 取材前、極めて冷静なつもりでいた。現場の雰囲気に流されると、ろくな取材にならないからだ。だが、これまでの経験と想像を超えた被害の大きさに心の整理が追いつかず、何をどう撮ればよいのか一瞬分からなくなった。

 全景の撮影から始めたが、一歩引いた写真だけでは水害の恐ろしさを伝えられないと感じた。実際よりも距離が縮まったような圧縮効果で被写体を浮かび上がらせることのできる500ミリの超望遠レンズに持ち替え、浸水車両を狙う。

 何度か旋回するうちに、雲間から光が差し込み水面が輝き始めた。平たく見えていた水面が、実は激しく波打っているのが分かる。今も車両基地には濁流が流れ込んでいるのだ。

 吹き返しの風の影響で時折ヘリが大きく揺れるなか、フレームいっぱいに新幹線を入れてシャッターを切り続けた。

 多くの写真が掲載されたが、言葉を失うほどの大水害を伝えきれる取材ができていただろうか。今も自問自答している。(写真報道局 恵守乾)

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