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【台風19号】震災で妻子犠牲、今回は農作物被害…相次ぐ試練も「必ず復旧させる」 宮城・大郷町の農家、阿部聡さん(41)

 近隣の東松島市出身の阿部さんは震災当時、同市内でトマトとキュウリを中心に栽培していた。震災では海沿いの自宅が津波にのまれ、自身は民家の屋根まで泳いで一命を取り留めたものの、妻、長女、長男、次女、祖母を亡くした。

 家も家族もすべて失った失意の中で、阿部さんは23年12月、知人農家とともに同市内で農業法人「イグナルファーム」を設立した。「イグナル」は東北地方の方言で「良くなる」の意味。「関わる人、東北を良くしていこう」(阿部さん)という思いを込めた。

 その後は取引先も順調に増やし、ミニトマト収穫の充実を図るため、29年には企業誘致を行っていた大郷町に栽培の拠点を作ることを決意。昨年稼働したハウスではミニトマト約80トン、長ネギ約120トンの収穫に成功し、今年はいずれも約2倍の収穫量を見込んでいたという。

 今回の台風によって大きな犠牲を再び強いられることになったが、阿部さんは「(法人の)職員の生活を守るためにも、早期の復旧を目指す。来年3月にはミニトマトの苗付けをしたい」と力を込める。「時間はかかるかもしれないが、何年かかろうとも必ず復旧させる」。その言葉は決意に満ちていた。(塔野岡剛)

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