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【逃げる】(上)台風災害の広域避難、都心250万人の覚悟は

洪水浸水想定図
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 広域避難の成否は移動手段の確保にかかっている。

 周辺5市町で広域避難の枠組み策定を進めていた埼玉県加須(かぞ)市は、利根川の水位が急上昇した13日午前1時、単独で広域避難に踏み切った。浸水域人口約3万人のうち、約8千人が域外にある市内外の避難所15カ所に逃げた。

 高齢者などのために用意したバス10台が延べ15往復したが、主要道路に想定を超える自家用車が集中。約10キロ渋滞し、避難所まで2~3時間かかった。

 危機管理防災課主幹、加藤辰男(50)は「未明の避難にためらいはあったが、多少の混乱が生じたとしても判断に間違いはなかった」と振り返る。

× × ×

 災害発生を前提に行動を時系列にした計画表「タイムライン」。JR東日本は今回、国交省のタイムラインより前倒しし、48時間以上前に計画運休の「可能性」を発表した。

 計画運休は3回目。JR東広報部長の照井英之(53)は「空振りを避けることより、運休を早く明らかにすることが求められている」と話す。交通機関を止めることを受け入れられる社会になりつつある。

 結果的に利根川も荒川も氾濫しなかったが水位は過去最大級。片田は「手段があっても本来は移動に3日間必要。雨量などの基準は適切か、広域避難の『トリガー』(きっかけ)の問題もある」と指摘する。

 気象庁の予測精度向上には限界があり、早い段階の情報ほど空振りのリスクがつきまとう。防災行政を所管する内閣府参事官、林正道(51)は言う。

 「広域避難は現実に起きると理解してもらう契機になった。空振りをどこまで許容してもらえるか」

 問われているのは行政だけでなく、住民自身の意識と覚悟だ。=敬称略

 この秋、3つの台風が大きな被害をもたらした。19号の上陸からは1カ月がたとうとしている。気象災害の激甚化を前にどう行動すべきか。課題を検証する。

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