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保釈中の再犯急増、10年で3倍 昨年最多258人 「覚醒剤」は10倍

裁判官の裁量

 ただ、刑事訴訟法は被告側から保釈請求があった場合、原則として認めなければならないと規定している。実刑相当の罪を犯した場合や常習犯、「証拠隠滅の恐れ」があるケースは例外だが、その場合でも「逃亡の恐れ」の程度などを考慮して裁判官の裁量で保釈を認めることができる。「再犯の恐れ」は保釈を認めない例外要件に入っていない。このため検察側は再犯の恐れが見込まれる場合、苦肉の策として、常習性につながる証拠があれば、最大限この部分を主張して保釈に反対するのだという。ある検察幹部は「国民が再犯の被害に遭わないためにも『再犯の恐れ』も当然考慮されるべきではないか」と訴える。

 これに対し元東京高裁部総括判事の門野博弁護士は「『再犯の恐れ』がないことを要件に入れると、保釈の運用が硬直化し、人質司法といわれた時代に逆戻りする可能性もある。逃走が相次いだからといって保釈要件を見直すのはいかがなものか」と指摘する。

 だが、ある検察関係者は「条文に書いていないからといって再犯の恐れを考慮しなくていいと考えているなら問題だ」と批判し「極端な話、『私は保釈されたら人を殺します』と話す被告も保釈されていいことになる」との見方を示す。

 ある警察関係者も「再犯の恐れがある被告は逃走する恐れもあると考えるのが常識的判断。逃走の恐れを考える際の材料ととらえるべきだ」と強調する。常磐大の諸沢英道元学長(刑事法)は「近年は裁判官がどこまで被告の事情を把握して保釈を判断しているのか疑問だ。社会の安全のため『再犯の恐れ』がないことを保釈の要件に明文化することを検討すべきではないか」と話した。

再保釈中、被害弁済できず窃盗も

 保釈中に1審で実刑判決を受けて収容され、控訴した後に再び保釈される「再保釈」も増えている。再保釈は実刑判決によって逃亡の恐れが高まるとされているが、捜査関係者からは「再犯も目立つ」との指摘もある。

 今年9月までに、特殊詐欺の電話をかけ計約1450万円を詐取したとして詐欺罪で起訴された29歳の男も再保釈中だった。

 捜査関係者によると、男は平成29年にも特殊詐欺で複数の高齢者から計約2350万円を詐取したとして逮捕、起訴され、今年3月に最初の詐欺罪で実刑が確定したが、収容されないまま7月、再び詐欺に関わったとして逮捕された。

 今年8月、訪問介護先の女性のキャッシュカードで現金計124万円を引き出したとして、東京地検に窃盗罪で起訴された57歳の女も、28年に勤務先の老人ホーム入所者を狙った窃盗罪で起訴され、再保釈中だった。最高裁で実刑判決が確定し、収容されるまでに新たな事件を起こしていた。

 最初の事件の被害総額は約2千万円。関係者によると、女は被害弁済できず、再保釈中に盗んだとされる現金を充てていたという。捜査関係者は「被害が多額で、弁済の見込みがない実刑相当の被告を保釈するとは考えられない」と話す。

■保釈 起訴後、被告の身柄拘束を解く手続き。刑事訴訟法は被告らから保釈請求があった場合、原則として認めなければならないと規定。「権利保釈」と呼ばれる。殺人などの重大犯罪は例外として保釈は認められないが、裁判官の裁量で保釈を認めることができ、「裁量保釈」と呼ばれる。

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