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元受刑者のコンサルが司法試験合格 「負け犬」から奮起

■打ち砕かれた期待

 淡い期待は見事に打ち砕かれる。

 特捜部の検事は「いいですか、粉飾は悪だ。銀行をだまして融資を受け取っているのだから」と反論を理解してはくれなかった。「中小企業はつぶれるしかないということか」と尋ねると、「粉飾決算をしている中小企業が何社つぶれることになろうと、それは仕方がないことだ」と返された。

 再建して返すつもりで融資を受けたのに、銀行は被害者と言えるのか。検事は現実経済を知らなさすぎるのではないか。自分のような一般人が本当に裁かれるべきなのか…。

 犯罪に当てはまるのかもしれないが、検事の考えは絶対に間違っている。拘置所の独居房で煩悶(はんもん)しながら決意した。司法試験に合格し、検事と同じ立場でものを言えるようになりたい、と。

 1審でも上級審でも主張は聞き入れられず、懲役2年4月の実刑判決が確定。佐藤さんは593日間、刑務所に入った。

 27年11月に刑期を終えた。かつての顧客に支えられてコンサル業を再開すると同時に司法試験の予備校に通い始めた。電車内で録音された講義を聴いたり、仕事中の待ち時間に手帳のメモを見て勉強したりした。

 元来、「超ポジティブな性格」と自負する。特捜部への復讐(ふくしゅう)というよりも「このままでは、ただの前科者になってしまう。負け犬で終わりたくない」という思いが原動力だった。

■「拘置所に入った経験があるからこそ」

 そして今年9月10日、逮捕された日と同じ秋晴れの下、東京・霞が関の法務省前に設置された掲示板に合格発表を見に行った。自分の受験番号を見つけると、思わず取り調べを受けた特捜部が入る隣の検察庁舎9階を仰ぎ見た。

 「ようやく事件が終わった」。8年分のさまざまな思いが一気にあふれ、涙となった。ずっと支えてくれた妻にすぐに報告した。

 目指すのは容疑者に寄り添う弁護士だ。「拘置所に入った経験があるからこそ、できることがあると思う」

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