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「宝の海」めぐり地域分断…複雑な構図も 諫早、現場の素顔

 諫早市に隣接する佐賀県太良(たら)町の漁師、平方宣清(のぶきよ)さん(66)は「干拓で生態系が一気に崩れた」と憤り「補償金のために裁判をしているわけではない。宝の海を取り戻すためには、潮が出入りしやすい常時開門しかない」と訴える。

 町の特産物である竹崎カニや高級二枚貝のタイラギの漁獲量が減り、湾閉め切り3年後の平成12年にノリが大凶作になった。今の稼ぎ頭は中国に輸出するビゼンクラゲになったという。

 ■和解の道模索を

 見渡す限り平地の続く中央干拓地。670ヘクタールの広大な農地では、20年から野菜栽培を中心に大規模農業が営まれている。

 開門を求める漁業者と、望まない営農者-。干拓問題は、この単純な二項対立の構図ではない側面もある。営農者の中にも開門を求めている人がいる。農業生産法人社長の松尾公春(きみはる)さん(62)は「干拓農地の環境が悪い。海水が入ってこないので冬は寒く、水はけも悪い」と訴える。

 調整池に集まるカモなどの野鳥被害を訴え、開門と損害賠償を求める訴訟を起こしている松尾さんは「干拓地の地主である長崎県農業振興公社が営農者を締め付け、干拓地を離れる営農者もいる」と打ち明ける。

 一方、公社から約47ヘクタールの土地を借り、ハウス栽培のトマトなどを海外に輸出している「愛菜(あいさい)ファーム」専務の山内末広さん(64)は「もともと干潟だった土地なのでミネラル分が豊富で肥沃(ひよく)。われわれは『開門はしない』というから入植した」と振り返る。常時開門には否定的だが、「漁業者が生活できる環境に戻してあげなければいけない」と和解の道を模索すべきだとも考えている。

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