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「宝の海」めぐり地域分断…複雑な構図も 諫早、現場の素顔

「干拓で生態系が一気に崩れた」と憤る漁師の平方宣清さん=佐賀県太良町(大竹直樹撮影)
「干拓で生態系が一気に崩れた」と憤る漁師の平方宣清さん=佐賀県太良町(大竹直樹撮影)
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 長崎県の国営諫早(いさはや)湾干拓事業をめぐり、潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決の無効化を国が求めた訴訟で最高裁は13日、審理を福岡高裁に差し戻した。開門して「宝の海」を取り戻したい漁業者側と、開門に反対する営農者側の対立は20年以上に及ぶ。現場を歩くと、堤防の防災機能としての評価とともに、単純な二項対立の構図ではない側面も浮かび上がる。(大竹直樹)

 ■「大雨でも安心」

 「一体いつまで振り回され続けるのか。早く決着をつけたい」。開門に反対する地元住民でつくる「諫早湾防災干拓事業推進連絡本部」の栗林英雄本部長(85)は13日、複雑な心境を吐露した。

 諫早湾を横断する全長約7キロの潮受け堤防。堤防上の歩道橋からは、有明海の青い海と農業用水を供給する茶褐色の調整池が見渡せる。湾が閉め切られたのは平成9年4月だった。

 「あの堤防ができてから大雨が降っても安心して寝られるようになった。堤防がなければ、この辺りはひと晩で冠水してしまう」

 昭和38年に入植が始まった旧干拓地の諫早市森山地区に住む主婦(65)は開門に反対の姿勢だ。堤防建設は湾の内側に農地を造成するためだけではなく、諫早地域を高潮などから守る防災機能の目的もあった。32年の諫早大水害では本明(ほんみょう)川が氾濫(はんらん)。死者494人、行方不明者45人という甚大な被害をもたらした。

 地区の自治会長を務める元ノリ漁師の農家、西村清貴さん(69)は「堤防ができる前から漁獲量は減っていた。開門しても有明海が良くなることはない。開門せずに有明海を再生すべきだ」と話す。

 ■「生態系崩れた」

 堤防によって干満差の大きい有明海は閉め切られ、干拓地へ海水が入ることはなくなった。それにより諫早湾で赤潮の発生や潮流の変化などの異常が増え、漁獲量が減ったと訴えているのが漁業者たちだ。

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