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【都民の警察官横顔(5)】通訳、教官、刑事…「すべて宝物」 八王子署生活安全課 東川麻早子警部補(58)

外国人対応マニュアル「外国語110番」を説明する八王子署の東川麻早子警部補
外国人対応マニュアル「外国語110番」を説明する八王子署の東川麻早子警部補

 勤続36年を数える警察官人生は、「なんで私が?」の連続だった。

 元々の志望は要人警護に当たるSP。駆け出しのころから毎朝のランニングで体力をつくり、合気道の稽古や拳銃訓練にも積極的に取り組んだ。警察学校卒業後に配属された新宿署では看守係も経験し、専門部署への登竜門を着実に歩んでいた。

 しかし、平成元年に教養課通訳センターが発足すると、学生時代のカナダへの留学経験などを買われて異動が決定。事件捜査の取り調べの通訳も担当するようになり、「翻訳一つでその人の人生が変わってしまう」と日々、英語を猛勉強した。

 当時、来日する外国人はパキスタン人やイラン人が増えており、英語だけでは対応に苦慮する事態が起きていた。そこで考えついたのが、指さし確認で通報や相談内容を把握できる手引書「外国語110番」の作成。落とし物の相談などの例文を16カ国語に翻訳し、字が読めない人には国旗を選んでもらう工夫も施した。

 6年には佐賀県警察学校に派遣され、新人の女性警察官5人の指導に当たることに。最初の1カ月は女子寮に泊まり込んで寝食を共にし、10歳近く年の離れた警察官の卵たちに体当たりで指導した。現在は教え子の3人が県警本部の課長級に昇進。今も交流は続き、「わが子のような存在」と目を細める。

 その後も英語の手腕を生かして国際捜査課で活躍し、やがて刑事の道を歩むようになった。16年の高井戸署勤務時代には、綿密な手口分析で余罪100件超のアパート連続侵入盗の解決に寄与。かつて通訳として取り調べに立ち合った経験は、調書作成でも力を発揮した。

 「専門分野と呼べるものはないが、すべての経験が宝物。何一つ無駄なことはなかった」。人とは違う道を歩んだからこそ、胸を張ってそう言える。(村嶋和樹、写真も)

ひがしかわ・まさこ 東京都出身。昭和57年入庁。教養課通訳センター、国際捜査課などを経て、今年7月から現職。父(84)と2人暮らし。28年間続けている趣味の茶道は、「宗麻」の茶名を授けられる腕前。勤務の合間を縫って通信大学を卒業し、博物館学芸員の資格も持つ。

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