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【主張】いじめメモ廃棄 教師が救わずに誰が救う

 岐阜市立中学3年の男子生徒(14)が今月初めマンションから転落して死亡した。いじめを苦に自殺したとみられる。

 いじめに関する情報が寄せられながら、顧みられなかった。教師が生徒を救わず誰が救うのか。悔やまれてならない。

 警察などによると、男子生徒の自宅から、いじめを受けていたことを示したメモが見つかった。男子生徒の死亡後、市教育委員会には、金銭を要求されたり、トイレで土下座をさせられたりする目撃情報が寄せられている。

 市教委は、いじめを認識できなかったとして謝罪し、原因究明を進めるという。それほどひどい状況が見逃されていたのはなぜか、徹底的に調査してもらいたい。

 5月下旬に同級生の女子生徒が担任教諭に、いじめがあることを訴えるメモを渡していた。男子生徒が物を隠されたことなどを具体的に挙げて「一緒に戦います。先生力を貸してください」と記していた。女子生徒はどれほど勇気をふるって書いたことだろう。

 あろうことか担任はそのメモを紛失した。他の書類と一緒にシュレッダーにかけ廃棄した可能性があるという。担任は男子生徒やいじめを指摘された加害生徒らに面談し、指導で解決したと考えたようである。

 市教委は「担任は隠蔽(いんぺい)するつもりはなく、訴えを軽くみていた」とかばうが、校長らにも報告されず、情報は共有されなかった。

 大津市で起きた中学2年生のいじめ自殺をきっかけに制定された、いじめ防止対策推進法は、訴えや兆候を把握した場合、組織的に対応するよう規定している。

 「よくあるトラブル」などと軽く考え、教師が一人で問題を抱え込む学校の悪弊は、いじめ問題の度に批判されてきた。教訓が全く生かされていない。

 同法改正をめぐり、いじめを放置した教職員への懲戒規定など学校側の義務を明確化することが検討された。だが、超党派議連の試案でこれが削られ、被害者遺族などから不信の声が出ている。

 懲戒規定などを削ったのは「萎縮を招く」「現場の負担が増す」からだというが、いじめを放置する者は教職者の名に値しない。子供たちの様子をつぶさに見て守るのが教師の最大の仕事ではないか。それをおいて「働き過ぎ」だとは誰も思うまい。

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